type R全パーツ 大公開!
実は手が込んでいる「HDMI入力」の実現
type Rには面白い、だがあまり目立たない機能として、「HDMI入力端子を備えて、単体のディスプレーとしても使える」機能がある。一体型パソコンやノートパソコンを見て、「液晶ディスプレーにゲーム機やレコーダーをつなげられればいいのに」と思ったことのある人も多いだろう。type Rではそれが、デジタル信号のHDMIで実現されているのがポイントだ。
湯川 これが今回注力して作った、HDMI入力が載っている基板です。一体型では「せっかく大きい液晶なんだから、入力も欲しい」と言われることが多かった。これを作ったのが、今回の大きなポイントですね。
近藤 2年前のtype Lの頃から要望されてきたことで、満を持して実現できました。
湯川 パソコン側のLVDS(信号線)の出力を、いったんこの基板に入れて、そこから液晶パネルに出力しています。この基板にあるHDMIのコントローラーが、パソコン側の映像を出力するか、HDMI入力側を出力するかを制御しているわけです。
近藤 つまり、パソコンの出力は直接液晶パネルにはいってないんです。ここでミックスしている。
湯川 スペック表では「HDMI入力×1」で済まされてしまう部分なのですが(笑)。実は頑張った、他には真似できない部分なんです。
――これだけ手間をかけて基板を作ってということは、「一体型パソコンを単体のディスプレーとして使えるようにしてほしい」という声は、かなり多いということでしょうか。
近藤 せっかく大きな画面なので、パソコンだけに使うのはもったいないという心理だと思います。ゲーム機をつないだりと、モニターとして使いたいという声が大きかったので、ようやく実現できました。
HDMI入力時だけでなく、パソコン画面も必ずこの基板を経由しているので、見た目以上にすごく手間がかかっているところです。今回のチャレンジは次以降も使えると思うので、価値のあるチャレンジをしたと自信を持っています。ゆくゆくはサイズをもっと小さくして、ノートにも付けたいですね。
type Rと一体型の未来
――来年の今頃には、インテルの新しいCore i7が登場してきます。その際に、今回の筐体をたった1年で放棄して、新しいのを作り直すというのは、もったいないですよね。
近藤 そうですね。今回のこのデザインは非常に好評をいただいておりますので、いいデザインができたからには、末永く使っていきたいと考えています。
――こうして世に出た一体型のtype Rですが、一体型路線を継承していくのかも含めて、今後のtype Rをどうしていきたいとお考えでしょうか。
近藤 type Rの「最先端を搭載し続ける」という要素は、VAIOのフラッグシップとして担っていくべきだと考えます。今回は一体型という解を出しましたが、今後フラッグシップに求められる解というのは、時代によって変わるかもしれない。
type Lなどほかの一体型と差としては、フォトとビデオのクリエーションがあり、これは今後しばらくは継続していきたいと考えています。
湯川 私はずっと一体型の設計を担当してきましたので、ソニーの得意な、ワンパッケージにした一体型、ケーブル1本で上位機種が使えるようになるという手軽さ。一体型でも上位モデルを使いたいという方や、上位モデルでも手軽に始めたい方に向けて、一体型のいろいろな姿を見せていきたいですね。