9月9日に発表された、新しい「VAIO type R」は、従来のタワー型セパレートタイプの筐体を捨て、25.5型の大型液晶ディスプレーを組み込んだ一体型パソコンへと生まれ変わった。
VAIOデスクトップのフラッグシップであり続けるtype Rが、なぜ一体型のデザインを採用したのか? VAIO事業本部で商品企画を担当した近藤博仁氏と、メカ設計リーダーを担当した湯川修平氏に、実際に分解してもらいながら、そのコンセプトと内部構造についておうかがいした。
最高・最先端を継承しつつ、設置性の高い一体型を
――VAIO type Rと言えば、前機種までのtype R masterのような、2ユニット構成の特異な製品もあれば、それより前の比較的オーソドックスなタワー型筐体もあった。それとはまったく異なる新type Rは、どういったコンセプトによって、一体型を選択されたのでしょうか。
近藤 機種の持つコンセプトは、元々「R」を冠するシリーズが持っていた「VAIOの中で最高峰のもの、スペック、最先端の機能を搭載し続けること」。これは守るべきところとしてありました。
Rシリーズは10年続けてきたのですが、守ってばかりというわけにもいきません。特に前回のR masterの頃から、タワー型のハイスペックな商品というのは、日本の市場においてだんだん減ってきていた。お客様には高評価をいただきましたが、一方で「いいマシンなんだけど、置き場所がないからウチには置けないよ」という声も多かった。何か変えなくては絶対ダメだなという危機意識がありました。
そこで今回は、設置性に一番のポイントを置きました。設置性をよくして、かつハイパフォーマンスのフラッグシップなものを作るというところで、一体型にチャレンジしようということになりました。
――今までのセパレートなタワー型であれば、拡張性は高いですし、熱設計も比較的楽だったはず。それを変えないとマズイ、という危機感がそれだけ強くあったということでしょうか。
近藤 タワー型には拡張性が高い、熱設計的にも余裕があるというメリットはありますが、逆にどのメーカーでも作れてしまうという面もある。タワー筐体にマザーボードを買ってきて組み込み、同じCPUを入れて……。他社のパソコンとの差別化が、だんだん難しくなってきていた。そういう理由もあります。
一体型にこれだけのスペックを入れるというのは、厳しいチャレンジになります。しかし、その厳しいチャレンジができるのは「日本メーカーのソニーならでは」でしょう。他の国のホワイトボックス系メーカーでは作れないマシンを作る。それがVAIOの強みであると思っています。
VGC-RT70D の主なスペック | |
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CPU | Core 2 Quad Q9400(2.66GHz) |
メモリー | DDR2-800 4GB |
グラフィックス | GeForce 9600M GT(ビデオメモリー512MB) |
ディスプレー | 25.5インチワイド 1920×1200ドット |
HDD | 1TB(500GB×2) |
光学ドライブ | 記録型BDドライブ |
テレビ機能 | 地上デジタル放送チューナー×2 |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n(Draft 2.0)、Bluetooth 2.1 |
サイズ | 幅661.8×奥行き235.5×高さ439.3mm |
重量 | 約18.8kg |
OS | Windows Vista Home Premium SP1 |
予想実売価格 | 40万円前後 |