「iPhone」の登場によって、一躍脚光を浴びるようになったタッチインターフェース。画面に指で触れ、直接操作でき、直感的だ。実際、銀行のATMや駅の券売機など、タッチパネルによる操作を前提とした機器が身の回りに数多く存在する。
パソコンの世界ではマウスを使ったGUIが一般的だが、これまでにも指やペンで画面に触れて操作するタイプの製品は数多く存在してきた。最近で言えば、UMPCやタブレットPCなどが挙げられる。
ここで紹介する日本ヒューレット・パッカードの「TouchSmart PC」も、そんなタッチ操作を採用したパソコンのひとつだ。
タッチの歴史は意外に古い
今回紹介する「IQ503jp」は、国内では昨年9月に発表された「IQ700」(関連記事)シリーズに続く、第2世代のTouchSmart PCである。
技術面での大きな特徴は、光学式のタッチパネルを採用している点が挙げられる。画面の額縁部分に、赤外線LEDとその受光部が設けられてあり、指などが光をさえぎると反応して、その位置を検出する仕組みとなっている。
タッチパネル方式で、現在の主流は「感圧式」(抵抗膜方式)。最近ではマルチタップが可能な「静電容量式」のタッチパネルも普及し始めている(iPhoneにも採用)。
精度の面では、これらの方式に劣る部分がある光学式のタッチパネルだが、大画面のディスプレーにも対応でき、また間に膜が必要ないため、ディスプレーの視認性を落とさない点が特徴。AV用途も兼ねる大画面の液晶一体型機では、大きな利点となるはずだ。
ちなみに、HPでは、1983年に登場した「HP-150」という機種で初めて、赤外線方式のタッチパネルを採用している。
1983年というと、日本では任天堂の「ファミリコンピューター」が発売された年。筆者が初めて手にしたパソコン(=MSX)や、アップルのLisaなどが誕生した年でもある。パソコンのインターフェースが模索されていた時期である。そういえば、三洋電機製のMSXにもライトペンを採用した製品があった。