<どんな事柄であれ、
正しさを主張する人間は色気を失う>
第126回芥川賞受賞作家にして、第1回大江健三郎賞受賞作家でもある長嶋有は傑作長篇『パラレル』の中で、語り手にそんな言葉を呟かせているわけですが、そのとおりでございますわね。正論ばかり吐く人って、なんかこう四角っぽいというか、きりきりしちゃってるっていうか、余裕がないっていうか、とにかくあんまり魅力があるようには見えませんの。
で、ですね。あくまでも私見なんではありますが、そんなにルックスがいいわけでもないのにモテるタイプって、かわいげのあるダメ男のような気がするんです。どこか抜けたとこがあって、なのに自分ではそれと気づかず、指摘するときょとんとしたり、彼女に猛烈な勢いで怒られるとおろおろしちゃったり、時々心ここにあらずって目をしたり、女の人に好意を示されるとあらがえなかったり、そのくせ自分の彼女や奥さんのことが大好きで、にもかかわらず誘われれば断れなくてetc.etc.はたから冷静に見れば、かなーりダメな男にもかかわらず、なーんか独特の色気をかもしやがるんですよ、そういう輩って。
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