月刊アスキー 2008年3月号掲載記事
和製メタバースと謳われる「meet-me」。昨年3月にトランスコスモス、産経新聞社、フロム・ソフトウェアの3社がバーチャルコミュニティの展開を目的に立ち上げたココアが急ピッチで開発を進め。12月にα版の試験運用が公開された。
試験運用は12月16日の受付開始後、3時間で当初予定のユーザー数千名を突破し、3日間で1万人以上の仮登録を集めたため、試験時ユーザー数が数千人規模に拡張された。621.5km2の空間に170万の建物と600の駅を有するリアル東京23区の再現を目指す同サービスの一般公開は、今年春の予定だ。
いざ“バーチャル東京”に入ってみると、渋谷や新宿の見慣れた街並みは、歩いていてなかなか面白い。「Google Earth」を使ったときのように、現実世界の自宅の周辺や馴染みのランドマークを見てみたいと感じる。飛行やテレポートはできないので、ひたすら走り回った。駅周辺以外は草原のような風景が続く。自由度の少ない動きで何もない土地をうろつくよりも、コンテンツがしっかりした中でエンタテインメントを楽しみたいと思った。オープンソース的に作り上げていくことのできるセカンドライフとは相対して、企業の参入がユーザー獲得の鍵を握っているのではないか。リアルに近いほど、面白みが増すだろう。
ビジネスモデルとしては、土地貸しなど月額課金とアイテム課金を見込んでいるほか、広告収益も視野に入れる。伊藤忠商事、フジテレビ、みずほキャピタル、イオン、スクウェア・エニックス(ゲーム事業)、クオラス(広告が株主として事業参画にすでに加わった。クオラスは、meet-me上でフジテレビのコンテンツと連動した新手法の広告宣伝を手がけていくという。3Dインターネットという新しい分野でいったいどんなビジネスが展開されていくのか。今はまだそれを模索する時代だ。だが、企業はそれを無視できないと見ている。その証拠に参入の問い合わせは数百にもおよび、関係者を驚かせた。企業をいかに誘致して、いかにリアルな東京に近づけるか。そこでユーザーが何を望み、何を喜ぶのか。これだけの大手企業らが投資する結果に注目したい。