インテル(株)は13日、45nm製造プロセスを使用した初めてのCPU「インテル Xeon プロセッサー 5400/5200番台」と「インテル Core 2 Extreme プロセッサー QX9650」など16種類を一斉に発表した。新しいトランジスタ技術の導入により消費電力を維持しながら、新命令の追加などにより従来品を上回る性能を誇る。
なお、搭載製品がすでに発表されているほか、秋葉原のパーツショップではCPU単体の販売も12日に開始されている(関連記事1)。発表されたCPUの一覧は記事の末尾にまとめた。
同日、東京都内で開催された新製品発表会では、インテル(株)代表取締役共同社長の吉田和正氏らにより、45nmプロセス世代の利点の説明や、新しいXeon/Core 2 Extremeの特徴とパフォーマンスデモなどが披露された。
Coreマイクロ・アーキテクチャーを採用する45nmプロセス世代のCPUは、「Penryn」(ペリン)のコードネームで呼ばれていたもの。パソコン向けとサーバー&ワークステーション向けでそれぞれ個別のコードネームを持ち、今回発表されたCPUは、サーバー&ワークステーション向けの「クアッドコア Xeon 5400番台」がHarpertown(ハーパータウン)、デュアルコア Xeon 5200番台がWolfdale(ウルフデール)、Core 2 Extreme QX9650がYorkfield(ヨークフィールド)と呼ばれている。
吉田氏は冒頭の挨拶でPenryn世代のCPUについて、インテルの創設者のひとりであるゴードン・ムーア(Gordon E. Moore)氏の言葉を引用し、「この40年間で(トランジスターにおける)最大の進歩」を遂げた技術が使われていると述べた。その特徴については第一に「高性能で電気を使わない」点にあるとして、High-K(高誘電率)ゲート酸化膜や金属ゲート素材など、トランジスター技術の進化が消費電力当たりの性能向上に大きく寄与していることを挙げた。また、インテル自体が“環境に優しい製品”の提供を重視していることにも触れ、Penryn世代のように電力効率の高いCPUを提供することで社会に貢献したいという姿勢を示した。
45nm世代への移行も迅速に進める。技術面について説明した同社技術本部 本部長の及川芳雄氏は、現行の2工場に加えて2008年中に2つの工場を45nm世代に以降させることで、2008年第3四半期には現行の65nmプロセス世代のCPUと出荷数量で逆転するという見通しを示した。
消費電力は減って性能は向上
Penryn世代のCPUは製造プロセスだけでなく、Xeon/Core 2 Extreme共に共通の特徴を備えている。既存のCore 2 Duoなどと同じCoreマイクロ・アーキテクチャーのCPUコアを備えているが、アーキテクチャーの改良でさらなる性能向上を実現する。その分かりやすい例が新しい47種類の命令セット「SSE4」の追加で、特にビデオエンコード/トランスコードのような処理に威力を発揮するとしている。発表会で披露されたCore 2 Extreme QX9650デモでは、既存のCore 2 Extreme QX6700(2.66GHz)とのビデオトランスコード処理の処理時間を比較して見せ、80%近い性能向上を実証してみせた。
また、消費電力についてもシステム全体で比較し、アイドル状態で13W程度、CPUがフル稼働状態では40W以上もCore 2 Extreme QX9650の方が低い様子が示された。
そのほかにも新CPUの特徴としては、従来比で1.5倍の12MB大容量2次キャッシュ搭載(クアッドコアの場合。デュアルコアは6MB)、割り算命令を高速化する「Radix-16 Divider」の実装、仮想化技術「拡張版インテル バーチャライゼーション・テクノロジー」の対応などが挙げられている。また、エクストリームセグメント向けのCore 2 Extreme QX9650はオーバークロック用途向けに、“オーバースピードプロテクション”を外した、いわゆる“倍率可変”CPUとなっている。なお、QX9650の詳細とパフォーマンスについては、関連記事2を参照のこと。
今回発表されたCPUは、サーバー&ワークステーション向けにエクストリーム向けと、一般消費者が直接手にするCPUではない。しかし2008年の第1四半期には、Penryn世代のデスクトップパソコン向けクアッドコア/デュアルコア Core 2 Duoプロセッサーと、ノートパソコン向けCore 2 Extreme/Core 2 Duoプロセッサーが出荷されると発表された。2008年中にはサーバーからノートまで、すべてのセグメントに45nm世代のCPUが投入されるということだ。
発表されたCPUの一覧
発表された16種類のCPUは以下のとおり。価格はすべて1000個受注時の1個当たりの価格である。なお、クアッドコアXeonにはプロセッサーナンバーの数字に同じものがあるが、ナンバーの先頭が“X”の場合TDP 120~150W、“E”の場合80Wとなっている。
- インテル Core 2 Extreme プロセッサー QX9650
- コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:130W
- 価格:11万7640円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5482
- コア数:4|クロック周波数:3.20GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:150W
- 価格:15万610円|45日以内に出荷予定
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5472
- コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
- 価格:12万350円|45日以内に出荷予定
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5472
- コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:120W
- 価格:11万2810円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5462
- コア数:4|クロック周波数:2.80GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
- 価格:9万3850円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5460
- コア数:4|クロック周波数:3.16GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:120W
- 価格:13万8010円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5450
- コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:10万7750円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー X5450
- コア数:4|クロック周波数:3GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:120W
- 価格:10万210円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5440
- コア数:4|クロック周波数:2.83GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:8万1250円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5430
- コア数:4|クロック周波数:2.66GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:5万3580円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5420
- コア数:4|クロック周波数:2.50GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:3万7210円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5410
- コア数:4|クロック周波数:2.33GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:3万150円|量産出荷中
- クアッドコア インテル Xeon プロセッサー E5405
- コア数:4|クロック周波数:2GHz|2次キャッシュ:12MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:2万4610円|量産出荷中
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー X5272
- コア数:2|クロック周波数:3.40GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1600MHz|TDP:80W
- 価格:13万8010円|45日以内に出荷予定
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー X5260
- コア数:2|クロック周波数:3.33GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1333MHz|TDP:80W
- 価格:10万210円|45日以内に出荷予定
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー E5205
- コア数:2|クロック周波数:1.86GHz|2次キャッシュ:6MB|システムバス:1066MHz|TDP:65W
- 価格:2万840円|45日以内に出荷予定