メモリモジュールのSPD情報を書き換えられるというユニークかつ危険な香りが漂うセンチュリーマイクロ製「SPD PROGRAMMER」のサンプル版がT-ZONE.PC DIY SHOPに入荷、明日から展示が始まる予定だ。
マザーボード上のメモリスロットを切り取ったような本体にはDDR/DDR2/DDR3と3本のDIMMスロットを装備。PCとの接続はUSBで、SPD情報の読み書きには同社専用のSPD編集ソフトを使用する。編集ソフトを起動するといきなり数字の羅列(SPDデータ)が表示されるため、ある程度の知識が必要となるのはもちろん、書き換えた場合は製品保証が効かなくなり、最悪動作しなくなる場合も考えられる。
なお実際にいくつかのメモリモジュールのSPD情報読み出しを試したところ、センチュリーマイクロ製はもちろんOK。UMAX製メモリモジュールはダメ、Hinix純正はOKという結果に。ただし現状販売されているメモリモジュールの中にはEEPROMにSPD情報書き換え防止のブロックが施されているものも多く見られる。またEEPROMがブロックされているメモリモジュールは特定のメーカーというわけではなく、諸般の事情により個々の製品に施されていることが多い(例えばあるメーカーのDDR2-667はブロックされていないが同じメーカーのDDR2-800はブロックされているといった具合)。今回登場した「SPD PROGRAMMER」はEEPROMにかけられたブロックを回避するというわけではなさそうなので、EEPROMがブロックされている製品については対応外ということになりそうだ。
その他、気になった点としてはNVIDIAとCorsairによるメモリの共同規格「EPP」の書き換えにも対応する点。EPP無しメモリをEPP対応メモリにするという荒業も理論的には可能のようだが、EPP対応メモリの使用するEEPROMは従来のものよりもbit数が多く容量が足りなくなるという心配も。またSPDはEPPやXMPと違い電圧の設定をもっていないため、オーバークロック系メモリのSPD情報を書き換えた場合に全く動作しなくなるという事態も考えられる(SPD情報のバックアップは必須)。
と、まぁ色々問題点を指摘してみたが「そんなの関係ないから早く売ってくれ!」というユーザーも多いだろう。センチュリーマイクロによると「仮に販売するとしたら1万円前後という価格を予定している」とのことで、おそらく販売に踏み切れば売れるのは間違いない。が、現実的に考えるとこのままの状態で販売するにはかなりハードルが高いといえる。「SPD情報の読み書きについてはセンチュリーマイクロ製メモリモジュール以外は対応せず」とでもしなければ、とてもではないが販売できる代物ではなさそう。ちなみにT-ZONE.PC DIY SHOPでは「まずはSPD情報の書き換えサービスから検討したい」とのこと。製品自体の完成度はかなり高いので、今後の動きに注目したいところだ。