HP APJ Media Summit 2014レポート 第4回
インフラの反対側にある「End User Experience」の取り組みも披露
プリンターやデバイスもNew Style of ITの重要なピース
2014年07月09日 09時00分更新
先週開催された米ヒューレット・パッカード主催の「HP APJ Media Summit 2014」では、New Style of ITの重要なピースの1つとして位置づけるビジネスプリンターやクライアントデバイスについても紹介された。
インフラの裏側にあるエンドユーザーにもフォーカス
他の大手ITベンダーに比べたHPの差別化ポイントは、その幅広い製品ポートフォリオにある。紆余曲折ありつつも、PCやタブレットのビジネスはいまだもって健在だし、ビジネス向けのシンクライアントやワークステーションでも次々と新製品が登場している。そして、国内メーカーが強力な日本ではやや違和感があるものの、プリンターや複合機もグローバルで圧倒的なシェアを誇っている。
今回のHP APJ Media Summitの初日では、「End User Experiences」というセッションを披露。HP APJ プリンティング・パーソナルシステムズグループ シニアバイスプレジデントのニック・ラザリディス氏は、「従来、われわれは9時から17時までがAlways-Onだったが、これからはワークとライフをブレンドしていく必要がある」というエンドユーザー環境を変化について指摘した。
こうしたニーズを受け、HP自体が15万人の規模でBYODを導入。ラザリディス氏は、「BYODの課題や複雑性を理解しているし、これがオポチュニティに変わることも知っている。そしてそのフィードバックを元に、エンドユーザーの体験を向上させる取り組みを進めている」と語る。
企業のモバイルニーズに応えるOfficejet Proシリーズ
ラザリディス氏のイントロの後、各事業部の代表が企業向けプリンター・複合機や、エンドユーザー向け端末などを披露した。
今回、中小企業向けの複合機として発表されたのは、「HP Officejet Proシリーズ」と「HP Officejet Wide Formatシリーズ」の2機種だ。
「HP Officejet Pro 6830 e-All-in-One」は、レーザーと同等の印刷品質をより安価なコストで実現するというビジネス向けのインクジェット複合機で、最大18枚/分の印刷速度を備える。ジェスチャー対応のカラースクリーンを備え、スキャンデータをUSBメモリに保存したり、クラウド経由でメールに送信することも可能だという。
また、「HP Officejet 7612 Wide Format e-All-in-One」はA3サイズにまで対応するインクジェット複合機。カタログやマーケティング資料など幅広いサイズを印刷できるほか、大判のドキュメントをシングルパスでスキャンすることも可能になっている。
これらOffice Proシリーズは、ルーターやアクセスポイントのない状態でも無線LANによる印刷が可能な「ワイヤレスダイレクト」、メールを送るだけでプリント可能な「HP ePrint」、各OSで利用できるモバイルプリントなどに対応。企業のモバイルニーズに応えるという。両社とも7月よりAPJにおいて順次発売を開始するとのこと。
ワークステーションの仮想化、HP DataPass
一方、サーバーとワークステーションのイノベーションを実用化した例として披露されたのが、「HP DL380z Virtual Workstation」と呼ばれるワークステーションの仮想化ソリューションだ。
これはワークステーションでの処理をサーバー側で仮想化するもの。NVIDIAやシトリックスの仮想化技術を組み合わせることで、高いセキュリティとレスポンスを実現。2Uのラックマウントサーバーにおいて、最大8つの仮想マシンを同時に処理できるという。データは暗号化されて転送されるため、扱いがナイーブな知的財産を統合管理できるセキュリティ面が最大のメリットとなっている。
またモバイルデバイスの利用を促進すべく発表されたのが、タブレット端末にインターネット接続サービスをバンドルした「HP Data Pass」だ。HP DataPassを搭載したデバイスでは、電源を入れ、登録を行なえば、Fogg Mobileが提供する3Gまたは4G LTEのモバイルブロードバンドサービスを利用できる。2年間に渡って、毎月最大250MBまでの容量を追加費用や契約なしに利用可能。オプションとして、追加のデータパッケージを購入することもできるという。
HP DataPassは当初、「HP Slate7 Voice Tablet Ultra」に搭載され、2014年末までに、香港とシンガポールで提供が開始される。他のデバイスへの対応や市場への提供は2015年の間に順次進められるとのこと。モバイルブロードバンドや格安SIMサービスの充実した日本での展開は正直難しいかもしれないが、デバイスメーカー側の取り組みとしてはユニークといえる。
インフラのみならず、そのコインの裏側であるエンドユーザー向けのデバイスやサービスを拡充するHP。エンドツーエンドのソリューションを提供できる“総合ベンダー”としての底力をアピールしたといえよう。
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