アップル「iPhone SE」キャリア発売延期の背景
文●石川温 編集● ASCII
2020年04月23日 09時00分
アップルは4月24日にiPhone SEを発売する。
長らくネット上で噂になっていた「iPhone SEの後継機種」。ただ、多くの人が待望していた4インチではなく4.7インチであり、画面下にはホームボタンも存在する。見た目的にはiPhone 8の後継機種と言っていいだろう。ただし、中身は昨年秋に発売されたiPhone 11と同じA13 Bionicを内蔵しており、使い勝手はかなり良さそうだ。
しかも、価格は64GBモデルで税別4万4800円。消費税を含めても5万円を切る。キャリアであれば、端末購入補助やおかえしプログラムなどで実質2〜3万円という衝撃プライスだ。
まさか、新品のiPhoneが、2〜3万円で買える時代が再び、訪れるとは思わなかった。これは間違いなく大ヒットすることだろう。
実際、予約が開始された17日21時にすぐには、SNS上で「iPhone SE、予約完了」のつぶやきを頻繁に見かけた。iPhone 11シリーズは高いと思って躊躇していた人たちがこぞって予約しているようだ。ネットでの予約が好調そうに見えるのは「リアル店舗で買えない」という昨今の事情もありそうだ。
●「オンラインだけというのは販売代理店への配慮もあって難しい」
アップルは現在、アップルストアをコロナウイルス感染症の拡大防止のため、全店休業となっている。そのため、すぐに手に入れるには必然的にオンラインで予約、購入することになる。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクにおいては、当初20日から予約を受付、27日から発売する予定であったが、突如、19日の日曜日になって、3キャリア一斉に「発売を5月11日に延期する」と発表。これにより、3キャリアではオンラインも店頭でも5月11日にならないと手に入らない状態となった。
3キャリアが販売延期を決めたのは、総務省からの要請があったとされている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、キャリアショップに対して営業時間の短縮などが要請されている。そんな中、人気機種のiPhone SEが発売となれば客が殺到しかねない懸念がある。
各キャリアともオンラインショップでの新規契約や機種変更などで端末の販売もしているが、iPhone SEの販売をオンラインだけに限定すれば、キャリアショップを経営する販売代理店からの反発は必至だ。
キャリア関係者は「やはりオンラインだけで売るというのは販売代理店への配慮もあって難しい。店舗で売れないとなれば、オンラインも延期せざるを得ない」と語る。
●自粛ムードが続けばSIMフリースマホもオンライン中心に
コロナ騒動により、販促や宣伝を見直さざるを得ないのがスマホメーカーだ。
日本では3月末から5Gが始まり、盛り上がりを見せるかと期待されたが、ここ最近のコロナ騒動により、5Gスマホの売れ行きはパッタリだ。
多くのユーザーは、購入したい機種などは考えず、店員さんからのアドバイスを元に、機種変更をするスマホを決めたりする。本来なら、店員さんに相談しつつ、自分で触ってスマホを購入したいはずなのだが、キャリアショップが営業時間短縮や休業でなかなか訪問できないとなれば、オンラインで購入せざるを得ないだろう。
SIMフリーメーカーにとってみれば、家電量販店が主戦場となる。ユーザーがSIMフリースマホを手に取って試してみる場所として家電量販店は絶好の場所と言える。
しかし現在、コロナウイルス感染拡大を防ぐため、家電量販店でも、休業していたり、営業時間を短縮している店舗があったりと、通常とは異なる営業を余儀なくされている。ユーザーとすれば、SIMフリースマホを試してみる場所、時間に制限がかけられてしまっている。
この自粛ムードがしばらく続くようだと、SIMフリースマホもオンラインが中心になってくるかもしれない。
●ネットを通じて魅力を伝える努力が求められそうだ
そうなると、これまで聞いたことのないメーカーのスマホは買いにくくなる。触らなくても、ブランドやスペックだけで選ぼうとなると、自然とこれまで使ったことのあるブランドやメーカーを選ぶことになるだろう。
4月21日に新製品「moto g8」「moto g8 power」を発表したモトローラは「moto g8 plusでは家電量販店のサイトで予約をたくさんしてもらい、購入してもらった。今後、店舗での展開は難しくなるかもしれないが、ネットを通じてmoto g8、moto g8 powerの魅力を訴求していきたい」という。
自粛ムードで家電量販店やキャリアショップなどのリアル店舗に足を運びにくくなる中、スマホメーカーは今まで以上にネットを通じて新製品の魅力を伝え、オンライン販売につなげる努力が求められそうだ。
筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。
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