医療に関する情報のデジタル化が一気に進む。
2021年10月には、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度が始まったが、2023年1月26日には電子処方せん制度がスタートする。
電子処方せん制度は、マイナンバーカードを利用して、医師・歯科医師と薬剤師が、患者の処方せん情報にアクセスする仕組みだ。
さらに政府は、2024年秋に健康保険証とマイナンバーカードを一体化させる目標も掲げている。
マイナンバーカードを介して、個人の診療や薬に関する情報に医療機関や薬局、公的機関がアクセスする仕組みだ。ただ、個人がいつ病院に行き、どんな薬を処方されたかといった情報は、もっとも慎重な取り扱いが求められる情報のひとつだ。
それだけに、あらためて電子処方せんの仕組みについて理解を深めておきたい。
オンライン診療などでメリットも
電子処方せんの運用が始まることで、どんなメリットがあるのだろうか。
医者に行くと、支払いの際に、医師の診断に基づく紙の処方せんを渡される。
患者は、紙の処方せんを持って薬局に行き、薬を買う。
こうした流れは、電子処方せんが導入されると、次のように変わることになる。
患者は自分のマイナンバーカードを病院のカードリーダーに読み込ませ、医師の診察を受ける。
診察が終わったら、患者は薬局に行き、マイナンバーカードをカードリーダーに読み込ませる。薬剤師は、患者の処方せん情報にアクセスし、薬を処方する。
厚生労働省は、処方せんを電子化することで、次のようなメリットがあると説明している。
医師が過去の処方せん情報にアクセスすることに患者が同意した場合、医師は、その患者がこれまでどんな薬を処方されてきたかを確認することができる。
この情報に基づき、飲み合わせの悪い薬を処方したり、同じ薬を重複して処方したりすることを防ぐことができる。
また、医師が過去の処方せん情報にアクセスできるようになることで、「より良い」医療が提供できるようになるとする。
オンライン診療では、処方せんや処方された薬を郵送で受け取る方法が主流なようだが、これも、患者はデータで受け取ることができるようになる。
そうなると、離れた場所にいる専門性の高い医師からオンラインで診察を受け、電子処方せんを受け取り、近くの調剤薬局で薬を買うといった方法も始まるだろう。
電子処方せんは集中管理
では、電子処方せんの情報は、だれがどのように管理するのだろうか。
厚生労働省の公表資料によれば、電子処方せんの情報は「中央」で管理する方法が予定されている。
電子処方せんの情報は、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会が管理するサーバーに蓄積される。
このサーバーは制度上、「電子処方せん管理サービス」と呼ばれている。
医師は、患者の処方せん情報を入力して「管理サービス」に送信する。医師や薬剤師、患者本人は、このサーバーにアクセスして、処方せんに関する情報を閲覧する。
仮に、患者がかかりつけの医師を変更したとしても、中央に管理者である「管理サービス」が置かれていることで、新しい医師も患者の処方せん情報に簡単にアクセスすることができる。
反面、「管理サービス」に情報が集中することで、個人の情報が特定の機関、あるいはサーバーに蓄積されていくことになる。
厚労省の説明は意味不明
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