このページの本文へ

東京リージョンも開設、最新クラウドサービスが利用可能に

Talend統合の“新生”QlikがAI戦略を説明 新たなデータファブリックも開発中

2024年03月27日 16時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 クリックテック・ジャパン(Qlik)は、2024年3月26日、2024年度のグローバルおよび日本市場の事業戦略に関する記者説明会を開催した。

 Qlikは、2023年にデータ統合プラットフォームを持つTalendを統合。2024年より“新生”Qlikとして事業を開始しており、データを利活用するためのデータパイプラインに必要な機能を一元的に備えたプラットフォームを展開する。あわせてロゴも一新、2色のデザインは旧Qlikと旧Talendが統合された様子を表している。

Qlikの新しいロゴ

 クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 今井浩氏は、新生Qlikが目指す方向性を、「一連のデータパイプラインを構築することで、データと企業の求める成果で生じるギャップを埋める、そして、AIを用いてデータパイプライン全体で自動化を進める」と説明する。

 現在、データは、その量と種類を拡大しながら、あらゆる場所に散在しており、関わる人が増えるにつれてリスクも高まっている。新生Qlikでは、このような状況下で、企業が求める多様な成果を得るためのデータの利活用を推進するプラットフォームを提供する。それは、誰もがデータを収集・分析して、インサイトを基にアクションできる、データの信頼性や安全性が担保されたプラットフォームだ。

クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 今井浩氏

信頼されたデータを活用してもらうAI戦略、新データファブリックも開発中

 Qlikは、Talendの統合により、「基本サービス」および「データ統合と品質」、「分析、AI、機械学習」からなるデータパイプラインのソリューションを拡充した。具体的には、基本サービスにおいて「API生成」や「オーケストレーション」、データ統合と品質において「SaaSアプリコネクター」や「ETL/データ変換」、「データ準備」、「品質とガバナンス」が加わった。「QlikはBIベンダーと言われてきたが、今では、BIはプラットフォームのほんの一部に過ぎない」と今井氏。

 「戦略的に持たないようにしている」(今井氏)とするデータベースエンジンについては、AWSやDatabricks、Google、Microsoft、Snowflakeといったクラウドデータウェアハウスベンダーと、マルチクラウドに対応する形で連携する。

Talendの統合により拡充されたデータパイプラインのプラットフォーム

 データパイプラインの展開に加えてQlikが注力するのが、信頼したデータに基づいたAI活用の支援だ。今井氏は、「AIのアウトプットやレスポンスの品質を向上させる根本はデータ。データ戦略とAI戦略は連動させるべき」と述べる。

 今井氏は、72%の企業が、AIのユースケース拡大を阻む重要課題として「データの管理」を挙げたという調査結果を引用しつつ、「AI活用における一番重要な挑戦はデータ」だと強調する。加えて、企業はデータレイクやデータウェアハウス、そして、別の調査では、企業の73%が「生成AIによりデータファブリックへの支出が増加する」と答えており、データを一元管理して活用するための「データファブリック」への注目が高まっていると述べる。

 AI活用の支援のためにQlikが展開するのが「Qlik Staige」だ。Qlik Staigeでは、生成AIの品質を担保するための信頼できるデータ統合基盤から、生成AIで分析やインサイトが強化されたデータパイプラインの各ソリューション、そして、非構造化データ分析やAutoMLを利用してAIアプリケーションの構築や導入を推進するソリューションまでを用意している。

企業のAI戦略の実現を支援するソリューション群「Qlik Staige」

 Qlik Staigeを中心としたAI活用支援を加速させるために、Qlikでは2つの企業を買収している。

 ひとつ目の買収は、2023年12月に発表した、AIを活用したデータプロダクトカタログのSaaSソリューションを持つ「Mozaic Data」。2つ目の買収は、2024年1月に発表した、構造化データと非構造化データを統合して、RAGの実装やアンサーマネージメントを実現する「Kyndi」だ。Kyndiに関しては、「いわゆるハルシネーションの課題を低減するソリューションの展開に向けて買収した」と今井氏。

 Mozaic Dataの買収は、新たなデータファブリックソリューションの展開をにらんでいる。QlikとTalendがそれぞれ有するデータカタログ、そして買収したMozaic Dataの技術を組み合わせたSaaS型のデータファブリックの開発を進めているという。

 現時点では、データレイクやデータウェアハウス、サイロ化されたデータを一元化して、AIを活用してさまざまなデータのKPI・スコアリングを自動化するサービスになる見込みだ。

日本市場の3つのアプローチ、東京リージョンも新設

 日本市場においては、3つのアプローチで事業に注力していく。

 ひとつ目は、「SAPデータの価値向上」だ。2023年に実施したQlikとAWSによるグローバル調査では、「SAPデータの価値を高めることを優先する」と回答した企業は、グローバルで87%、日本では96%という結果になったという。今井氏は、「大切なデータがSAPに蓄積されているのは間違いなく、そのデータを活用すれば、自然とビジネス価値が向上する」と強調する。

 Qlikは、SAP内外のデータを視覚化し、データを行動に繋げるための「SAPアクセラレーターパッケージ」を展開している。パートナーの協力を得て、散在するSAPのデータを事前設定したチャートに変換、カスタマイズされたテンプレートに統合する。対SAPマーケットの体制も強化し、SAPの知見を持つスペシャリストを採用、専用ロール(役職)を設けて組織化するという。

SAPデータをデータパイプライン化する「SAPアクセラレーターパッケージ」

 2つ目のアプローチは、前述のSAPアクセラレーターパッケージでも重要な役割を果たす「パートナーエコシステム」だ。同社は、データベースエンジンで連携する「グローバルテクノロジーパートナー」とQlikの従来のパートナーである「包括パートナー」、そしてQlik自身で形成するパートナーエコシステムのトライアングルを“Power of Three”と呼んでいる。

 2024年からはTalendのパートナーが、このPower of Threeに統合され、販売可能なポートフォリオが拡がり、クロスセルやアップセルの機会も増加する。グローバル全体でパートナー支援の組織を強化しており、日本でもそれにならって体制が拡充された。

グローバルテクノロジーパートナー、包括パートナー、Qlikからなる“Power of Three”

 3つ目は、「カスタマーサクセス」だ。ユーザー企業の成功体験や課題を共有する機会を醸成すべく、グローバルのユーザー企業向けプロプグラム「Qlik Luminary」の日本版である「Qlik アドボケイト」を活発化させる。昨年の立ち上げから参加ユーザー企業が増加しているといい、国内ユーザー企業同士が交流するコミュニティイベントを定期開催していく。

 これらのローカルでの活動は、日本市場への投資につながっており、日本初となる東京クラウドリージョンの開設にも至った。

 既に同リージョンはサービスを開始済みで、データレジデンシーを保証し、海外の法的規制や地政学的リスクを回避した、より安定したシステム運用を実現する。また、Qlik AutoMLや Qlik Application Automationなど、これまで国内ではSaaS上でしか展開されていなかった最新のクラウドサービスが利用できるようになる。

東京クラウドリージョンの開設

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード