2022年もまたたくさんの……いや、たくさんってほどではないけど各社からデジタル一眼が登場したわけで、注目すべき技術がいろいろと盛り込まれているわけだが、その中でもこの連載に関わりが深いのがAF。AIを駆使した、賢い「猫AF」だ。
この点では、OMデジタルソリューションズと富士フイルムが、やっと猫AFを搭載してくれたのが大きなトピック。今までOM-Dを使ってた私は即、「OM-1」を買っちゃったのである。冒頭の、木に登ってる猫はOM-1で撮ったもの。高感度時の画質がぐっと上がったのもうれしい。
その後も、夏から冬にかけて魅力的なミラーレス一眼が続々と登場してきた。6月には、キヤノンの「EOS R7」。APS-CサイズセンサーのEOS Rシリーズで、こちらも当然ながら猫AF搭載だし、連写も速い。
さらに、APS-Cサイズセンサー機を主力としている富士フイルムが、立て続けに3台のハイエンド機を投入してきたのも驚きだった。富士フイルムとしては初の猫AF搭載機なのである。
6月はフラッグシップモデルの「X-H2S」。積層型裏面照射CMOSセンサーを採用し、超高速AFと超高速連写に加えて猫AFを搭載と、世代が一つ進んだのだ。
X-H2Sは、APS-Cサイズセンサーのミラーレス一眼の中で最高性能を誇るカメラといっていいと思う。
そして9月には、X-H2Sのセンサー違いモデルといっていい「X-H2」も登場。4000万画素だが積層型ではなく、価格もX-H2Sより安かった。高画素より積層型のほうがコストがかかるってことだ。
これで打ち止めかと思いきや、X-H2と同じ4000万画素センサーを搭載した「X-T5」が11月に登場したのである。X-H2と同じセンサーを使いながらもより軽い、背面のモニタもチルト式に戻ったし、価格も安いなどバランスがすごくいい。チルト式はとっさにローアングルにできて、猫撮りに向いてるのだ。
さらに秋~冬には、ソニーの「α7R V」と、キヤノンの「EOS R6 Mark II」が登場。どちらもフルサイズセンサー機で、AFが強化され、特にEOS R6 Mark IIは「被写体自動検出」も付いた。
と、2022年発売のミラーレス一眼から猫AF搭載機をいくつか紹介したのだが、その中で最適はどれか。
これが悩ましい。画質で言えばソニーのα7R Vだし、AFならキヤノンのEOS R6 Mark IIだろう。
ただ、散歩で出会った猫とたわむれる的な撮り方を考えると、コンパクトで携帯性が高いこと・価格は高すぎないこと・猫AF性能がよいこと・モニタがチルト式であること、などなど個人的に捨てがたい条件がいっぱいついてくるわけで、となると、富士フイルムのX-T5かもしれない。コンパクトで持ち歩きやすいし、モニタはチルト式に戻ったし、価格もそれほど高くないし。
という結論はどうだろうか。
各社ともフラッグシップ機は出そろったので、2023年は、そろそろミドルクラスの軽くてコンパクトで価格もそこそこな猫撮り向きカメラがそろってこないかな、と思ってたりする年末なのである。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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