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ASCII Power Review 第190回

1億画素に位相差AFにボディー内手ブレ補正で完成形です

ハッセルブラッドの最新中判カメラ「X2D 100C」実機レビュー = 写真好きなら絶対手に入れたい逸品だっ!

2022年09月30日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ハッセルブラッドから中判ミラーレス機の新製品「X2D 100C」が発売された。撮像素子が従来モデル「X1DⅡ50C」の5000万画素から1億画素にアップされたうえ、位相差AFにボディー内手ブレ補正も搭載された上位モデルになる。

 短期間だが試用するチャンスに恵まれたので、気になる操作性から画質までチェックしていこう。

9月9日に発売済だが現状は品薄状態。量販価格は121万0000円

精巧なアルミボディにウットリ
最新型UIで迷ない操作

 外観のデザインは従来モデルを踏襲し、まるで工芸品のようなアルミ削り出しのボディーが相変わらず美しい。

 カラーはグレーからブラックに変更され重厚な印象になった。そういえば初代の「X1D 50C」はシルバーだったので代を重ねるごと濃くなってきたことになる。

 ボディーサイズは従来モデルより奥行や高さが4.5~9mm程度、重量は約130g増加しているが、それでも中判デジカメとしてはコンパクトである。

ボディーサイズは148.5(W)×106(H)×74.5(D)mm、バッテリー込みの重量は895g、ちなみに「X1DⅡ50C」は148(W)×97(H)×70(D)mm、重量はメディア・バッテリー込で766gだ。

 手にしてみると少しグリップの厚みが増したように感じたが、スリムなボディーと背面の指掛かり部が手に馴染み、安定して構えることができホールド感は良好だ。

前面のグリップにくわえ、背面の指掛かり部のおかげで、しっかりと構えることができる。

 上面の操作系はポップアップ式モードダイヤル(結構好きなギミックだった)が廃止され、代わりに液晶パネルを搭載。主な撮影情報を一目で確認できるようになった。また電源OFFの状態でも電源ボタンを一瞬押すと、バッテリー残量が表示される。なかなか気の利いた機能だ。

モードダイヤルにかわり液晶パネルを搭載。撮影モードは左側にある「M」ボタンを押して、コマンドダイヤルで変更する。また背面のタッチパネルでも変更できる。

電源OFF時でもバッテリー残量を確認できるのが何気に便利。

 背面液晶はボタン配置やメニュー階層が従来モデルとは一部異なるが、ほとんどの設定をタッチ液晶で行う点は変わらない。撮影情報画面はフォントが大きいので見やすく、メニュー画面は項目ごとに整理されている。

 なによりタッチやスクロールがとても滑らかに反応してくれるので操作していて心地良い。また従来モデルでは固定式だった背面液晶も上方のみだが可動できるようになった。

背面は液晶といくつかのボタンが配置されたシンプルな操作系。タッチAFに対応しているのでEVF撮影時でも背面液晶をなぞれば測距点の移動ができる。

液晶右横のメニューボタンを押すと撮影情報が表示され、各種項目をタッチ操作で変更できる。

撮影情報画面からさらにメニューボタンを押すか、画面を左にスクロールするとメニュー画面が表示される。

背面液晶は上方40度と70度の2段階に可動する。どうせなら下方にも可動して欲しいとは思うが……

 EVFは解像度が576万ドットに向上し、撮影倍率も1倍(35mm換算では0.8倍)と大きな像で確認できる。また視度補正に電子式を採用しているのも珍しい。

電子式視度補正はEVFに文字が表示され、リアコマンドダイヤルで調整する仕組み。実用性は微妙だが、サイバーな雰囲気は楽しい。

 ユニークなのは1TBのSSDを内蔵している点。ストレージを搭載している機種は他にもあるが、1TBは未だかつてない大容量だ。16BitのRAW+JPEGで3566枚の撮影ができる。また外部メディアにはCFexpressのTypeBを採用し、SSDと合わせバックアップ記録も可能だ。

内蔵ストレージの設定画面、さすがに1TBもあれば1億画素機でも容量は安心。設定でCFexpressを併用しバックアップ記録をすれば更に安心だ。

 バッテリーの形状は変わらずレバー&プッシュ着脱式を採用。従来モデルより容量が増加しUSB PD充電にも対応した新しいタイプに変更されている。

 満充電からRAW+JPEGで撮影してみると、273カット546枚撮ったところで残量は10%だった。1億画素で手ブレ補正も搭載した中判デジカメと考えれば十分なスタミナだ。

側面には上部にはUSB端子、下部にはCFexpressのスロットを備える。

バッテリー横のレバーをスライドさせると少しバッテリーが飛び出し、その後押し込むと外すことができる。

 ストラップの取付金具が500Cシリーズを知っている人には懐かしい着脱可能な形状に変更。三脚使用時などに即座に取り外すことができるので実用性も高い。

昔ながらのハッセルファンにはたまらないストラップの取付金具。

新デザインのレンズは軽快な動作
豊富な階調に恐るべき解像度

 「X2D 100C」と同時に「XCD 2,5/38V」(35mm換算30mm相当)、「XCD 2,5/55V」(43mm相当)、「XCD 2,5/90V」(71mm相当)の3本のレンズが登場した。共に絞り開放F2.5 でデザインも統一されている。前方のフォーカスリングはスライドさせるとMFに切り替わり、被写界深度目盛のアナログ感もいい感じだ。

 後方のコントロールリングには絞りとシャッタースピード、ISO感度に露出補正が割り当てられる。

「X2D」と同時に発売された「XCD 2,5/38V」と「XCD 2,5/55V」。量販店価格はともに58万3000円。「XCD 2,5/90V」の発売時期は未定。

フォーカスリングをスライドさせると距離目盛が現れMF操作に切り替わる。

 MF時のピント合わせはピーキングに代わり「フォーカスインジケーター」という機能を搭載。感覚的には二重像合致式に近いが、ピントリングの動きに合わせて測距ポイントの指標が回転するので、直観的にピントを合わせられる。

MFでフォーカスインジケーターを表示した画面。ピントが合うと緑色に点灯する。測距ポイントは画面上の自由な位置に移動ができる。

 レンズの描写も含め、画質をRAW+JPEGで撮影したJPEGデータで見ていくと、やはり1億画素だけあって拡大して見たときの細部の精細さは圧巻だ。被写体の質感を忠実に再現してくれる柔らかい階調や、色乗りが深い発色も魅力的である。

撮影した写真の一部を等倍に拡大。精細な解像感が伝わる。「XCD 2,5/38V」・F5.6・1/75秒・ISO64。

解像感にくわえ質感を滑らかに写しだす階調再現にも注目。「XCD 2,5/55V」・F5.6・1/90秒・ISO64。

決して彩度が高いわけではないが、車体の赤や青、木葉の緑が印象的な発色。「XCD 2,5/38V」・F4・1/230秒・ISO64。

拡大してみると経年劣化による塗装の剥がれまではっきり見える。怖いくらいの解像感だ。「XCD 2,5/38V」・F11・1/140秒・ISO400。

夕日に照らされた車両のハイライト部も、白とびすることなく再現されている。「XCD 2,5/55V」・F8・1/290秒・ISO200。

絞り開放での周辺光量落ちと、中判ならではの浅いピントで、何気ない景色もいい感じに撮れた。「XCD 2,5/55V」・F2.5・1/1600秒・ISO64。

「XCD 2,5/55V」の最短撮影距離(45センチ)付近での撮影だが、解像感に変わりはない。「XCD 2,5/55V」・F2.5・1/480秒・ISO400。

太陽を直接写し込んだが、ゴーストやフレアも目立たず、逆光にも強そうだ。「XCD 2,5/38V」・F16・1/115秒・ISO64。

 今回試用した「XCD 2,5/38V」と「XCD 2,5/55V」の傾向は同一で、絞り開放では周辺光量低下を残した補正になっていて、F5.6あたりから均一になる。解像感は絞り開放から高く、周辺部も像の乱れもごくわずか、レンズ描写が優秀なことがわかる。回折現象はF16を超えると像が甘くなり始める。

「XCD 2,5/38V」のF2.5(上)とF5.6(下)で撮影したときの周辺光量低下の変化。

「XCD 2,5/55V」のF2.5(上)とF5.6(下)で撮影したときの周辺光量低下の変化。

「XCD 2,5/38V」の中心部と周辺部の絞り値による解像感を比較(中心部)。

「XCD 2,5/38V」(周辺部)

「XCD 2,5/55V」の中心部と周辺部の絞り値による解像感を比較(中心部)。

「XCD 2,5/55V」(周辺部)。

 高感度はISO6400くらいから少しノイズが見えるが、解像感は保持されている。ISO12800を超えるとノイズ処理で解像感が低下し始めるが、拡大してみなければ最高感度のISO25600でも実用的だ。

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