2023年出荷予定のMeteor Lake
LGA 1700との互換性は保たれない可能性大
さて、その次はIntel 4を利用するMeteor Lakeである。このIntel 4は前回説明したように、量産開始時期が2023年前半から2022年後半に前倒しになった。これを受けてか、Meteor Lakeは2022年第2四半期には量産準備が整い、2023年から出荷を開始すると発表された。
以前の予定では2023年前半に量産準備が整うわけで、早くても2023年第3四半期あたりと見られていただけに、驚きの前倒しである。ただ昨年第2四半期にテープイン(物理設計開始)が発表されていたから、おおむね1年程度を要するとしてちょうど今年第2四半期にテープアウトするのは不思議でもなんでもない。
ただそうなると気になるのは、Raptor Lakeの寿命の短さである。現時点ではまだRaptor Lakeの出荷時期は明らかになっていないが、仮に今年6月のCOMPUTEXの時期に発表されたとしても半年かそこらでMeteor Lakeに刷新されることになる。かつてのBroadwellのように、かわいそうな子に終わってしまうのかもしれない。
話をMeteor Lakeに戻すと、この世代は4タイル、つまりCPU/GFX/SoC/IOの4種類から構成されることが明らかになった。SoCというのは、従来のCPUで言えばアンコアに相当する部分と思われる。メモリーコントローラーやISP(Image Signal Processor)、暗号化アクセラレーターなどと、後述するAIプロセッサーもここに含まれるだろう。
IOタイルはPCI ExpressやThunderbolt 4/USB 4などを実装する格好になると考えられる。GFXは、次世代ということなので現行のXe(つまりDG2シリーズ)の次、DG3シリーズ相当のものになると思われる。Integrated AI Accelerationというのは、筆者の先のRaptor Lakeの推定が正しければ、Myriad Xの現行世代もしくは次世代のコアをSoCタイルに統合するという意味だと思われる。
ちなみにMeteor Lakeの世代では、モバイル向けはPCHの機能がすべてSoCタイルに取り込まれることになるだろう。ただ同じ機能をデスクトップ向けにも提供するかどうかは定かではない。チップセットの選択ができることがわりと重要なデスクトップ向けの現状の動向を考えると、モバイル向けとデスクトップ向けではSoCタイルの構造が変わっていても不思議ではないし、実際そうした作り分けをするためにタイル・アーキテクチャーを採用したと考えられる。
おそらく、Meteor Lakeの世代ではLGA 1700との互換性は保たれないだろう。この世代ではDDR4のサポートも落ちる公算が大きいし、PCIeもひょっとするとそろそろGen 6が視野に入るからだ。Meteor Lakeのプラットフォームは、次のArrow Lakeとの互換性を保つものになるのではないかと筆者は考える。
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