梅雨が終わった瞬間、急に暑くなり、暑さに慣れてない身体はびっくりするのである。今年も去年もその前も、毎年同じではあるけれども、こればかりはしょうがない。急に暑くなると猫もびっくりするわけで、もうどうでもいいやって感じで日陰にぐったり倒れ込んで日没を待つのだけど、その熱で溶けかけた姿がまたよい。
ちょっとした高低差がある土地に建っているおうちの、玄関に向かう階段の上にへちゃげてる猫を発見。ちょうど梅雨が明け、いきなり真夏になった日だ。
名前はみやちゃん。以前、たまたまここを通りがかったとき、猫を撫でているおばさま方がいらして、教えて貰ったのである。宮城県からやってきたから「みやちゃん」というそうな。名前を覚えるのは不得手だけれども、由来も一緒に言ってもらえると印象に残るのである。飼っているわけではなさそうだけど、宮城出身とわかってるのが不思議。そこまでは聞かなかった。
へちゃっとつぶれてるみやちゃんだったが、もうちょっとアップで撮ろうとちょっと近づくと、こちらに気づいてほわーっとあくび。あくび口は全開もよいが、開く途中の七分目くらいもオススメ。ちょっと間が抜けた感じがいい。それが冒頭写真。全開の写真はこちらだ。
呼んだら近くまで来てくれた。人に慣れてる猫とはいえ、うれしいことである。
急な真夏日ゆえ、ほかにも日陰で潰れてる猫がいるに違いないときょろきょろしながら歩いてると、ほかにもいた。真夏の猫がくつろぎがちなのは、長く止めっぱなしになってて動きそうにない車の日陰。そこを上手に使って寄り添って寝てる。
1枚だけ撮って起こさないようそっと離れようとすると、その車の下にもっとへちゃげてるやつ発見。そこなら終日日陰だし、風が吹いたら気持ちよく抜けるしでよい場所である。
ただ、これを撮ってるわたしは日向にいて、しかも車の下の猫を撮ろうと地面すれすれにカメラを構える必要があり、どうしてもレンズを支える左手の甲やら、ときには這いつくばった肘やらが灼熱にアスファルトに触れて「あつっ」となるのである。しかも姿勢を低くするとアスファルトの熱がもわっときて暑いのだ。熱中症に注意すべし。
今年はまだ梅雨が明けたばかりなので、このあとは過去の夏猫から数枚。暑くて動くのめんどくさい日が暮れるまで動かないでじっとしてたいと思っても、そこが安全な場所……、つまり人に見つかりにくい場所でなければ意味がない。車の下でぐでっとしてることが多いのは、普通の人は這いつくばって車の下を覗き込んだりしないからだ、たぶん。
車の下と並んで猫に人気なのが階段。観光地の真夏の朝ともなると出歩いてる人もほぼいなくて、階段のど真ん中でどうどうと溶けてるのだ。この溶けっぷりがよかったので正面から。
最後は都内某所のホテル猫。いやホテルが飼ってるわけじゃないんだろうけど、入口の庇の上がお気に入りなようで、ときおり、出入りするカップルをチェックするかのようにココにちょこんと座ってるのだが、暑い日はそのままこのていたらく。でもなんか、ややくたびれかけたホテルと無造作に枝を伸ばしてる木と我が物顔で寝てる猫という組み合わせがいいのである。
まあそんな真夏ならではの猫がへちゃけてる様子はとても愛らしくてよい夏の風物詩なのであるが、コロナ禍で出歩く機会が減ってなかなか真夏の暑さに慣れないみなさまにおかれましては、熱中症に気をつけていただきたく、猫が好むような風通しがよい日陰を選んで歩いていただければと思う次第である。だからといって庇の上や車の下は無理だけど。
■Amazon.co.jpで購入
-
古地図とめぐる東京歴史探訪 (SB新書)荻窪 圭(著)SBクリエイティブ
-
デジタル一眼レフカメラが上手くなる本 基本とシーン別の撮り方60上原 ゼンジ、桃井 一至、荻窪 圭(著)翔泳社
-
古地図でめぐる 今昔 東京さんぽガイド荻窪 圭(著)玄光社
筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
この連載の記事
-
第868回
デジカメ
14年前のコンパクトデジカメ、10倍ズームのキヤノン「IXY 50S」を引っ張り出してキジトラ三昧 -
第867回
デジカメ
予約しないと買えない本格派コンデジ、リコー「GR III HDF」と「GR IIIx HDF」で気軽に猫スナップ -
第866回
デジカメ
5倍や10倍望遠で撮れ、Sペンがリモートシャッターにもなる「Galaxy S24 Ultra」は猫撮影で重宝する -
第865回
デジカメ
4つのカメラを搭載したサムスン電子「Galaxy S24 Ultra」は猫の顔アップもピシッと撮れる -
第864回
デジカメ
”猫撮影の基本”第3弾! 背景やボケ具合をコントロールするとよりイメージどおりの写真が撮れる -
第863回
デジカメ
”猫撮影の基本”第2弾! 広角と望遠の特性を知って使い分けると写真のバリエーションがぐっと広がる -
第862回
デジカメ
構える高さを工夫すると猫写真は大きく変わる! 新年度なのであらためて猫の撮り方ノウハウをご紹介 -
第861回
デジカメ
10年前に撮った猫とまさかの再会! 数年ぶりに出会っていた猫たちの写真をライブラリーから探し出した -
第860回
デジカメ
膝の上で気持ちよさそうにしている猫を親指シャッターやアクロバティックな体勢で自撮り! -
第859回
デジカメ
富士フイルム「X100VI」は発売前から大人気! 歴代「X100シリーズ」で撮った猫写真を集めてみた -
第858回
デジカメ
ぱぱっと設定できて程良い距離感で猫が撮れる! 富士フイルム「X100VI」は楽しい趣味カメラだ - この連載の一覧へ