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MCコジマのカルチャー編集後記 第296回

ベイスターズのドラフトを振り返る

2017年10月27日 08時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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編集後記ですが、ドラフトの話をします

 26日にグランドプリンスホテル新高輪で開催された2017年プロ野球ドラフト会議。とてもシンプルに言うと、プロ野球の新人選手獲得のために行われる会議です。

 簡単に説明すると、「この選手がほしい」と各球団が選んでいくシステムになっています。1巡目のみ、指名した選手が複数の球団で重複した場合は、該当球団の代表者がくじを引き、当たりを引いた球団が交渉権を獲得。2巡目はウェーバー方式(シーズン順位の下位から順番に指名)、3巡目は逆ウェーバー方式(シーズン順位の上位から順番に指名)となります。4巡目はウェーバー、5巡目は逆ウェーバー……これをすべての球団が「もういいです」と言うまで繰り返していきます。ざっくり言うと、2巡目以降は早い者勝ち。

 話題の清宮幸太郎選手(早稲田実業)は日本ハムファイターズが交渉権を獲得しました。7球団からの指名は、福留孝介選手以来となる、高校生選手としては最多の球団指名競合数です。

 くじ引きや指名で人生が大きく変わるというのも、なかなか因果なものだと思います。といっても、指名された選手たちは、まだまだスタートラインに立ったばかり。きびしいプロの世界で、一人でも多くのスターが生まれることを願ってやみません。

 「ドラフトが話題になっているので記事にしたらどうか?」と言われたので、筆者の応援する横浜DeNAベイスターズの指名を振り返りたいと思います(編注:ドラフトそのものにフォーカスを当てた記事を、と言ったつもりだったのですが……)。

というか、ベイスターズのドラフトの話をします

 まず、ドラフトとは、欲しい選手を選ぶものです。何を当たり前のことを……と思われそうですが、欲しい選手を獲得する(正確に言えば交渉権を獲得する)とは、チームの戦力を補強することにほかなりません。

 つまり、今のチームに足りないところだけではなく、ゆくゆくは足りなくなりそうなところも補いたい。入ってすぐに新人に活躍してほしいポジションもあれば、今は有力な選手がいるけれど、何年後かには手薄になりそうなポジションもありえます。

 さて、ベイスターズはどうでしょう。まず投手は、先発、リリーフともに、ポテンシャルの高い選手は取りたい。即戦力になるタイプ、じっくり育てたいタイプ、両方ほしい。特に若い左腕投手は人数がいません。捕手は、1軍で活躍している人材こそ多いのですが、2軍で育てる人数が明らかに足りないため、若い選手を最低でも1人は補いたいポイントです。

 内野手は、数年後に1軍で戦力になる人材がほしいところ。外野手はレギュラー選手が揃っているので、打力が光る存在が入れば獲得してもいいかも。内外野を問わず、数年後を見越せば、筒香嘉智選手のような強力な打撃力のある4番候補も取っておきたい、といった感じ……。そして、結果は以下のようになりました。

横浜DeNAベイスターズ 交渉権獲得選手一覧

順位 氏名 ポジション 所属
1位 東克樹 投手 立命館大学
2位 神里和毅 外野手 日本生命
3位 阪口皓亮 投手 北海高等学校
4位 齋藤俊介 投手 JX-ENEOS
5位 櫻井周斗 投手 日本大学第三高等学校
6位 寺田光輝 投手 石川ミリオンスターズ
7位 宮本秀明 内野手 パナソニック
8位 楠本泰史 外野手 東北福祉大学
9位 山本祐大 捕手 滋賀ユナイテッドBC
育成1位 中川虎大 投手 箕島高等学校

 まず、1位指名したのは、大学ナンバーワン左腕といわれた東克樹選手(立命館大学)。これは清宮幸太郎選手、あるいは社会人ナンバーワン投手と言われる田嶋大樹選手(JR東日本)が競合確実と見て、競合を避け確実な獲得を狙ういわゆる“1本釣り”の形になります。見事に成功し、交渉権を獲得しました。石田健大選手、今永昇太選手、濵口遥大選手と、左腕の先発が揃っている球団だけに、やりやすい環境ではないかと思います。

 2位には神里和毅選手(日本生命)。外野手は優先度が低いと思っていただけに驚きましたが、筒香嘉智選手、宮﨑敏郎選手、ホセ・ロペス選手などに続く、パンチのある打力を持つ人材がほしいとなれば納得がいきます。何かアクシデントがあった時に打てる(そして守れる)控えがほしい、外野のレギュラー陣は固まっていても、それに続く選手がもう少し……と編成担当が考えていたとすれば、この選択は誤りとは言えません。

 3位の阪口皓亮選手(北海高等学校)、5位の櫻井周斗選手(日本大学第三高等学校)は有望な高卒投手。即戦力リリーフは、4位は速球派右腕の齋藤俊介選手(JX-ENEOS)を獲得しました。6位の寺田光輝選手(石川ミリオンスターズ)は右の変速サイドスローで、いかにも横浜らしい指名。

 あれ、内野手と捕手を獲得していない……と思っていたところ、内外野を守れるというユーティリティーの宮本秀明選手(パナソニック)、打力がウリの楠本泰史選手(東北福祉大学)を指名し、捕手は山本祐大選手(滋賀ユナイテッドベースボール倶楽部)を指名。育成選手として中川虎大選手(箕島高等学校)を指名して終了しました。

 終わってみれば、即戦力になる投手として先発と2人のリリーフを指名。素材型の投手も育成を入れて3人。2軍で鍛える捕手、いざというときのユーティリティー枠、未来の4番もしくは代打の切り札としても期待できる人材も揃いました。補強ポイントとも目されていた即戦力二遊間をあえて取らなかったのは、今のレギュラー陣に匹敵するほどの人材はいない、もしくは来年以降のドラフトで獲得する。今年は取れる人の中でベストな指名をしよう……という意図が、端的に現れた部分ではないでしょうか。

 今までは「とにかく足りないところを埋めていく」感じだったベイスターズのドラフトが、今年は毎年1人だった高卒投手を3人獲得するなど、レギュラー選手を中心にその脇を固めていくことを考えたような人選となりました。チームとしての軸を持ち、ブレない方針での補強ができるようになったのだなと、感慨深いものがあります。

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