鹿島は12月2日、ミリ秒単位で制御した連続爆発によって振動や騒音が少なく、住宅地に隣接するトンネル現場に適用できるトンネル発破掘削技術を開発したと発表した。
近年では、山岳トンネル工事も市街地や民家に隣接することが多い。地上に近い部分では、基本的に機械掘削を使うもが、硬い岩があった場合には火薬を爆発させる「発破」が必要となる。発破による振動や騒音を低減するには、1孔あたりの火薬量を減らす制御発破が効果的とされるが、複数の発破による振動や騒音波形が重なりあうことなく分離されることが重要という。
これまでのトンネル発破用電子雷管は30ミリ秒に固定されており、制御発破の連続時間や分割できる数に制限されていた。これに対し鹿島では、新たに1ミリ秒で設定できる電子雷管「eDev II」を採用。一連の発破作業を通じて振動値や周波数特性などのデータ・ノウハウを蓄積し、複数の発破の振動が重なりあって大きな振動となることなしに発破継続時間を短縮、振動値と振動体感を抑える方法を確立した。
さらに起爆間隔を高精度に制御することにより、振動の卓越周波数(もっとも振幅が大きくなる周波数)をコントロールできることを確認。卓越周波数を高周波帯に移行することで距離減衰の効果を高めるほか、地上構造物うの共振周波数を回避することも可能という。
この技術は近くに住宅地や民家があるトンネル掘削工事、愛知県豊田市の安永川トンネル新設工事と新名神高速道路箕面トンネル西工事で適用され、従来からの雷管よりも4~5dB低減し、極めて効果的であることが確認されたという。同社では、さらにデータやノウハウを蓄積し、周辺環境に配慮した施工を進めるとともに、余掘り低減や長孔発破への応用などトンネル発破掘削技術を最適化するという。