10TB HDDの投入と「アクティブアーカイブ」の提唱
さらに今回HGSTでは、ヘリウム充填と「SMR(Shingled Magnetic Recording)」技術を組み合わせた10TB HDD製品のサンプル出荷も開始した。ただしSMRは、高密度書き込み(=大容量化)を実現する一方でシーケンシャルな書き込みしかできない(ランダム書き込み不可)技術であり、この製品は「コールドストレージ向け大容量HDD」という位置づけとなる。
コリンズ氏は、HGSTが「アクティブアーカイブ」と呼ぶ新たな領域について説明した。従来のストレージシステムでは、常にデータアクセスが可能なオンラインのHDDか、容量単価が安く電力も消費しないがデータアクセスに時間のかかるオフラインのテープメディアかという“二者択一”だった。この中間でギャップを埋めるのが、アクティブアーカイブの役割だ。
現在のビジネスITでは、過去何年分もの膨大なデータを単にアーカイブするだけでなく、それを解析して「ビジネス価値」を引き出すことが求められるようになっている。この点を指摘したタン氏は「過去のストレージとは異なる責務がある」と述べ、アクセス性も確保したアクティブアーカイブの取り組みが重要であることを私的した。
なお今回、このアクティブアーカイブをハードウェア実装として提供する「Active Archive Platform」も発表されている。オブジェクトストレージ技術を持つAmplidata、Avereの2社をパートナーとして開発した製品で、1ラックあたり10PB以上のデータ容量密度(従来の5倍以上)を実現するという。この製品は現在、顧客評価中という段階だ。
NVMe PCIe SSD、サーバーサイドフラッシュのクラスタ化も
フラッシュストレージ領域ではすでに「Ultrastar」ブランドでSAS SSDを提供しているHGSTだが、今回は同ブランドでNVMe規格に対応した「Ultrastar SN100 PCIe SSD」シリーズのサンプル出荷開始を発表している。NVMeはPCIeバスに直結できる高速インタフェース規格で、SN100はハーフハイト/ハーフレングスのカード型、2.5インチドライブ型のモデルが提供される。
また、複数のサーバーが搭載するPCIeフラッシュ(最大16台)をクラスタ化し、高速な共有ボリュームを提供するソフトウェア「HGST Virident Space」も発表した(先行顧客による評価中)。「フラッシュストレージは高価だが、他のサーバーとの共有ストレージ化して利用率を上げることで、コスト効率を高めることができる」(タン氏)。
タン氏は、ビジネス領域で重視される意思決定の加速のためにはアプリケーションの高速化が必要であり、フラッシュストレージは「より高速に」という顧客ニーズを満たすために強く求められていると述べた。HGSTにおけるエンタープライズSSDの売上は、FY2013から2014の1年間で43%成長したという。