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山谷剛史の「アジアIT小話」 第81回

中国で普及真っただ中のスマートテレビ、その使い勝手を検証!

2014年09月04日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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操作レスポンスはあまりよくないが
マウス&キーボードはなんとか使える!

 使い勝手についてだが、まず反応は早くはない。ひどい時にはボタンを押した後、1秒程度遅れてカーソルが移動する程に遅い。反応がないと連打しようものなら、メニュー画面とアプリ画面を行き来して頭を痛める。

 中国メーカー各社のテレビをチェックしたわけではないが、高速CPUを売りにしている中国メーカーのスマートテレビは大手メーカーでは見たことがない。どのモデルも反応がキビキビしていないのだろうか。

「QQ」ではやはり、キーボードとマウスがほしくなる……

「QQ」ではやはり、キーボードとマウスがほしくなる……

 テレビやネット動画を見るだけならいい。だがこのスマートテレビには、チャットも微博もある。音楽配信サービスも文字入力が必要だ。キングソフトの「WPS Office」を操作するにはキーボードやマウスがほしい。

オフィシャルアプリでスマホをリモコン化。操作しやすくなった

オフィシャルアプリでスマホをリモコン化。多少操作しやすくなった

 もちろん、付属のリモコンでは入力が極めて面倒くさい。そこで専用のスマホアプリをインストールし、スマホをリモコン化することで、入力はそれなりに改善できる。

試しに「BigShark」という聞きなれない安価のキーボードとマウスのセットを購入

試しに「BigShark」という聞きなれない安価のキーボードとマウスのセットを購入してテレビとつなげてみる

 テレビ側面にはUSBコネクターが2つあり、モノは試しと無線接続のマウス+キーボードセットを80元(約1300円)で購入し、つなげてみた。すると、あらゆる場面でマウスとキーボードが利用できて非常に快適にテレビが使えるようになった。

 マウスやキーボードがつなげられることについては、テレビに付属する紙ペラ1枚の説明書には一切書いていない。

 ついでに言えば、初期設定ではテレビが見られない。起動時に設定画面は表示されず、何も見えないテレビ画面に遷移してから何十チャンネルについて自動周波数チェック(地域の選択はできない)をすることで、初めてさまざまな放送が見られる。

FruitsNinjaを試すが、リモコンやマウスではゲームにならない

「FruitsNinja」を試すが、リモコンやマウスではゲームにならない

 ゲームはインストールできるが、基本的にAndroid向けということでタッチパネルのないスマートテレビではリモコンはおろか、マウスでもちゃんと遊ぶことはできない。これも手探りでいろいろ触ってみてはじめて気づく。

 ユーザーフレンドリーとは無縁で、自作パソコン以上に手探りでDIY(Do It Yourself)な製品である。

中高年ユーザーには「訳が分からない」使い勝手
まだまだ改善の余地アリ

ハングアップすることもある。こうなると電源を切って再起動しかない

ハングアップすることもある。こうなると電源を切って再起動しかない

 ヘビーユーザーが利用するならいいのだが、テレビを使うのはPCやスマホで動画を見ない中高年層だ。いくら家族の結束は強く、家族のうちの若い誰かが設置とサポートをするにせよ、彼らにこんなにも自由度の高く、最初のハードルが高い製品を与えるのはいかがなものかと思う。

 実際、中高年の人に使わせたところ「訳がわからない」とお手上げだった。これではスマートテレビの印象は「雑多で難しいもの」になりかねず、次の買い替えでスマートテレビを進んで買い替えるかも怪しい。

 中国メーカーのスマートテレビにはまだまだ改善の余地があり、使い勝手こそが日本メーカーを含む外国メーカーが中国市場で優位に立てる点に思えた(もっとも、ソフトで優位に立つと真似されるという心配があるわけだが……)。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。

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