省エネ、DCIM、HVDC、屋内位置情報など、新技術を活用/検証し発信するオフィス
NTTファシリティーズの新ビルは“自社技術の実証実験場”
2014年07月31日 06時00分更新
NTTファシリティーズは7月30日、新しい研究開発拠点「NTTファシリティーズ新大橋ビル」(東京都江東区)を報道陣に公開した。研究開発本部を集約した同ビルは、同社が研究開発を進めているさまざまなオフィスビル/データセンター関連技術を試験導入、検証し、顧客に向けて発信する機能も併せ持つ。
NTTファシリティーズ 研究開発本部 本部長の植草常雄氏は、同ビルの存在意義として「建物自体が研究開発対象として活用できる」ことを挙げる。同本部が研究開発中のさまざまな技術を実験的に導入し、自らユーザー視点でのフィードバックを行うとともに、顧客に対する実践的なプレゼンテーションの場としても活用する方針だ。
同ビルが検証対象とする技術は、建物のライフサイクルコスト削減、安心・安全、快適&便利、データセンター運用効率化、省エネルギー化といったカテゴリーに分かれる。内覧会では、こうした技術を検証、活用する模様がオフィス内で披露された。
スマホ+ビーコンによる行動分析から運用開始後のオフィス改善も
たとえば、建物のライフサイクルコスト全体を削減するために、設置コストの高い二重床の代わりに「天井フレーム方式」を採用したほか、未利用だったエネルギー(地中熱や外気冷熱、サーバー排熱)や再生可能エネルギー(太陽光発電)も活用する。また、建物の設計段階から運用段階に至るまで、建物や設備機器の情報をBIMデータ(3次元形状データ+コストなどの属性データ)として一元管理することで、将来の改修や更改、シミュレーションにかかる手間やコストを抑えるアプローチを取っている。
オフィス環境の整備においては、建物全体を明確に「コミュニケーション」「研究」「リフレッシュ」という3つのゾーンに区分するなど、知的生産性を高めるための設計を実施。さらに、従業員が携帯するスマートフォンと建物内のビーコンで取得する位置情報から行動分析を実施し、コミュニケーションやリフレッシュを目的としたスペースが実際に活用されているかどうかを評価する。このデータは、スペースの再配置や改修における行動シミュレーションにも役立てられるという。
ビル1階にあるガラス張りの「みせるサーバールーム」では、実際に研究開発本部の業務システムを運用しながら、DCIM(データセンターインフラ管理システム)やHVDC(高電圧直流給電)、難燃性リチウムイオン蓄電池、アイルキャッピング、高効率空調機「FMACSV」といった、同社の保有技術/製品を紹介している。