東京農工大学は7月4日、磁性細菌の磁気微粒子合成にかかわるタンパク質を解析し、合成される結晶の形を制御するメカニズムを解明したと発表した。微生物が作り出す磁気微粒子の形状を制御するメカニズムの発見は世界で初めてという。
磁性細菌は川や海に生息し、数十~100ナノメートルの磁気微粒子を合成、細胞内に磁気微粒子が整列しているため磁場に応答する特徴がある。農工大ではこれらの細菌の磁気微粒子合成にかかわる4つのタンパク質を解析、タンパク質を合成する遺伝子が欠損した株を作成した。
この結果、それぞれの遺伝子欠損株が合成する磁性微粒子の形状が異なることを発見し、これらのタンパク質発現バランスが結晶成長にかかわることがわかった。また、生成された磁気微粒子には人工的に合成するのが難しい形状があるロッド型、これまで報告例のないタンベル型があることも分かった。
多様な形状の磁気微粒子を目的に合わせて設計・製造できる可能性をあり、MRIの造影剤、腫瘍部のみ電磁誘導加熱するハイパーサーミア治療といった医療用途、高密度磁気記録媒体といった産業用途など応用が期待されるとしている。