力強くスケール感のある低音
細かい音の再現も丁寧
こちらも同様にまずはPCと接続して聴いてみた。JVCではWindows用のドライバーソフトはあるが、専用の再生ソフトなどは用意されていないので、再生ソフトは定番の「Foobar2000」を使っている。
クラシック(192kHz/24bit)では、低音が力強いスケール感豊かな音で、管楽器の音色も華やかに再現する。ドンシャリというほどの味付けではないが、音楽をより情感豊かに再現する印象で、濃厚な味わいが大きな特徴と言える。
ポップスでも、声の情感がしっかりと出て、曲のムードがよく伝わる。微妙なニュアンスも豊かだし、細かな音の再現も丁寧だが、音楽としての表情の豊かさがよく描き出される。
ビートの効いたロックサウンドは低音のリズムの切れ味もするどく、パワフルな演奏が楽しめた。Hi-Fi(高忠実度)と音の個性の主張のバランスがよく、音楽を楽しく聴けるものに仕上がっている。
iPod touchに切り替えてみると、決して質は悪くないが非力さを感じることが少なくないiPod touchの音が、格段に力強いものになる。ハイレゾ音源の細かな情報量や音の粒立ち感はやや失われるが、エッジの効いた鮮度の高い再現になる。
これにK2テクノロジーを組み合わせてみると、確かにPCでのハイレゾ再生に近い質感が蘇る。弦の音色の艶やかさが増し、華やかというだけでなく生き生きとした鮮度の高い音になる。
ハイレゾ音源のそのものとは言えないが、ハイレゾに近い生々しさが得られるので、クラシックなどはより満足度の高い再現と感じる。一方で、ロックをよりキレ味鋭く楽しむならば、K2テクノロジーをオフにするのもアリだ。このあたりは曲や好みで使い分けるのが面白い。
ハイレゾ音源の普及で、ヘッドフォンやポタアンも高解像度や忠実志向の強い音が人気となっている感があるが、十分な解像感や忠実度の高い再現に加え、はっきりとした個性を持ったアンプの音が得られるのはポタアンによる音質チューニングという点では大きな価値があると思う。
特に、スマホの音が非力に感じる、もっとブリブリとした厚みのある低音がほしいと思う人には、本機の音はよくマッチするだろう。
次回はもう少しディープな世界へ……
今回メインで紹介したUSB DAC付きポタアンは、オンキヨーやティアックの最新機種のようにハイレゾには対応できないものの、iPhoneなどと特別な接続や設定を必要とせず、比較的気軽に接続するだけでデジタル接続による高音質化が楽しめる。初めてのポタアンとしてはもっともオススメのモデルであるのは間違いないだろう。
だがしかし、やはりUSB DAC付きポタアンを使うなら、DSD音源を含むより高品質な音源への対応も気になる人は少なくないはず。次回は、iOSでもDSD音源やハイレゾ音源をそのままの品質で楽しめるモデルを紹介する。多少マニアックな面もあるが、高音質派ならば要チェックのモデルだ。
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