EricssonとSamsungは1月27日、特許クロスライセンスで合意したことを発表した。合意のもとでSamsungはEricssonに特許使用料を支払う。これにより、2012年秋より双方が起こしていた複数の特許訴訟をすべて取り下げることを発表した。
通信インフラ最大手のEricssonは2012年11月末に、Samsungを相手取って米テキサス州東部地区連邦地方裁判所などで特許訴訟を開始した(関連記事)。2社は2001年からライセンスを結んでいるが、ライセンス合意の更新で交渉が決裂したため。当時Ericssonは、FRAND(Fair:公正な、 Reasonable:合理的、妥当な、And Non-Discriminatory:非差別的)条項でのライセンスをSamsungが拒否したと主張していた。これを受けてSamsungは翌月、米国際貿易委員会(ITC)でEricssonを逆提訴し、該当する特許を利用したEricssonのインフラ製品の米国への輸入禁止などを求めていた。
Ericssonによると、2社は新たに世界規模での特許ライセンスを結ぶと同時に、両社の間で起こっているすべて特許訴訟を取り下げることで合意したという。対象となる特許はGSM、UMTS、LTEなどの通信技術標準で、端末向けとネットワーク向けの両方をカバーする。また、この合意によりSamsungはEricssonに特許ライセンス料を支払う。
これによりEricssonの2013年第4四半期(10~12月期)の売上は42億スウェーデンクローナ(約6億5200万ドル)増加、純利益ベースでは33億スウェーデンクローナ(約5億1200万ドル)増加する見通しとしている。一時金に加え、SamsungはEricssonに継続的にライセンス料を支払うという。
なおSamsungは同日に、Googleと特許クロスライセンス契約を結んだことも発表している。GoogleはMotorola Mobilityの買収により特許ポートフォリオを強化しており、今回の2社の合意では今後10年間お互いの特許の使用を認めることになる。