EMCジャパンは11月21日、オールフラッシュアレイ「EMC XtremIO(エクストリームアイオー)」の国内提供を開始した。すでに提供中の「XtremSF」「XtremSW」などと合わせ、あらゆる領域に“適材適所”のフラッシュ製品を提供する「Flash Everywhere」ポートフォリオが完成した。
EMCではフラッシュ製品群「EMC Xtrem」ファミリとして、昨年10月にサーバー内蔵型フラッシュカードのXtremSF(関連記事、旧称VFCache)を、今年3月にサーバーサイドキャッシュソフトウェアのXtremSW Cache(関連記事)を発売した。これらの製品発表時には、オールフラッシュアレイ製品の開発プロジェクト“Project X”も進行中であることが繰り返しアナウンスされていたが、それが今回のXtremIOである。
XtremIOは、「X-Brick」と呼ばれる6Uサイズのコンポーネントを積み重ねることで、容量と性能をリニアに拡張することができる。1つのX-Brickは、25本の400GB eMLC SSDをまとめたSSDアレイ(合計で物理容量10TB)と、2つのコントローラーにより構成される。InfiniBandスイッチを介して最大4つのX-Brickをクラスタ化することが可能で(合計で物理容量40TB)、その場合のIOPSは読み出し(Read)が最大100万、読み書き混在(Mixed)が最大60万。レイテンシは「ミリ秒以下」としている。
XtremIOでは、フラッシュに最適化されたアーキテクチャが採用されている(関連記事)。インライン重複排除やシンプロビジョニング、データ保護の機能をあらかじめ備えている。
インライン重複排除は、保存データ容量を削減するだけでなく、SSDへの書き込み処理を削減するために活用されている。XtremIOは、あらゆる書き込みデータを4KBのデータブロックに分割し、すべてのコントローラー/SSDに均等に分散して書き込む。この際、各データブロックのフィンガープリントを生成し、内容の重複するデータブロックがあればSSDに書き込まない。ポインタを含むメタデータはメモリ内に保持されており、データをコピーする場合はこのメタデータだけがコピーされる。こうして書き込み回数を減らすことで、書き込み処理が遅い、書き込み寿命があるといったSSD(フラッシュ)の課題を軽減している。
また各コントローラーのメモリは、InfiniBand(RDMA:Remote Direct Memory Access)を介して共有メモリとなっており、どのコントローラーを介しても同等のデータアクセス速度を実現している。
データ保護技術としては、RAIDに代わって新たに開発した「XDP(XtremIO Data Protection)」を採用している。EMCでは、RAID 6相当の二重パリティ(N+2)を備える一方で、RAID 1の高いパフォーマンス、RAID 5の優れた容量効率も兼ね備えると説明している。
シンプロビジョニングはすべてのボリュームに対して適用される。前述のとおりすべてのデータが4KBブロックに分割され書き込まれるため、事前にストレージ領域の割り当てを行う必要がなく、パフォーマンス低下や容量オーバーヘッド、ガベージコレクションが発生しない。
ストレージの構成設定は「ボリュームの作成」「イニシエーターグループの作成」「ボリュームのマッピング」の3ステップで完了し、複雑な計画や調整は不要になっている。
提供価格は3726万2500円からとなっている(税別、導入サービスおよび保守サポート費用は別途)。
EMCジャパン マーケティング本部 本部長の上原宏氏は、フラッシュの容量単価下落に伴ってフラッシュ市場が活気を帯びており、EMCのフラッシュ出荷容量も「年々倍増している状況」と説明。今回のXtremIO投入によって、あらゆるワークロードとサービスレベルに適したフラッシュの適用を推進する「Flash Everywhere」のポートフォリオが完成したと述べた。