最近では「ネットワーク対応HDD」などとと呼ばれることも多くなっている「NAS」(Network Attached Storage)。設置や運用が容易なファイルサーバーである。
その名称のとおり、自宅などのLANに接続するだけでファイルサーバとして運用できる。複数台のPCでファイルを共有したり、重要なデータをバックアップしたりする目的で使われてきた。
数年前なら、自宅でNASを運用するのはそれなりにヘビーなPCユーザーと相場は決まっていたものだが、このところはちょっと様相が違ってきている。
というのも、NASがPCのデータを保存する目的として使われるのはもちろんだが、最近はテレビの録画機器やスマートフォン、タブレットのモバイルデバイスなど、さまざまな機器と連動して活用できる製品がほとんど。
逆にいえば、そういう手持ちのデバイスを融合して活用していきたいと考えるのなら必須ともいえる存在になっているのがNASなのだ。
ということで本記事では最新のNASについて、いくつかにカテゴリー分けしながら次ページ以降でその特徴を紹介していこう。なお、本特集で扱うのは基本的にコンシューマー(一般家庭)向けのNAS製品となる。
クラウドストレージとNAS、どっちを使うのがいいの?
NASの導入を考えたとき、「Dropbox」や「SugarSync」「Google Drive」といった「クラウドストレージ」の存在が頭をよぎるのではないだろうか。
確かに、クラウドに各種データを保存し、場所にとらわれることなくPCでもスマホでもタブレットでもアクセスできるクラウドストレージサービスは便利なことに間違いはない。各デバイスでのデータ同期も自動的に行なわれるから、データバックアップの用途としてもクラウドストレージは便利に使える。
ただし、注意点もある。データを気軽に保存できるものの、反面その「保安性」が高いかと言えば必ずしもそうではない。
法人向けクラウドサービスでは契約時に「サービス品質保証契約(SLA)」が明示されるから、データ喪失の危険性は高くない。といっても、過去には法人向けクラウドサービスがデータを喪失して大きな問題となったこともあるから、100%の安全が保証されているわけではない。
個人が利用するクラウドストレージサービスならなおさらその危険性は高く、クラウドに保存されているからといってそのデータが永遠に保たれるとは間違っても思うべきではないだろう。特に、有償で利用しているサービスならばともかく、無償で利用できるサービスは言わずもがな……である。
その点、NASならば自分でデータを管理し、内蔵HDDが故障しない限りは保存したデータの安全性はかなり高く保つことができる。そしてなにより、ここで紹介しているNAS製品のほとんどは、LANの外部から比較的簡単にインターネットを介してアクセスすることができる。
つまり「プライベートなクラウドストレージ」として使うことが可能なのだ。ちょっと前ならルーターを越えるための設定には難しい面も多々あったが、最近の製品ならルーター越えも容易であることが多い。
さらに後述する「DTCP+」機能に対応したNASなら、自分で録画したデジタルコンテンツを外部から楽しむことさえできる。
もちろん、NASを自身で運用するには電気代の支払いが必要だし、そしてなによりいずれ故障するに違いないHDDの管理という大きな負担もある。自己責任という意味では、NASにも弱点はあるのだ。
これらのことを考慮しながら、NASを導入するのか、有償サービスを視野に入れてクラウドストレージを利用するのかを選択していただきたい。
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