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藤村Dに直撃!テレビ業界どうでしょう

2013年07月24日 16時01分更新

文● 今村知子(Tomoko Imamura)/アスキークラウド編集部

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「バラエティは一過性のもの」ではない

 ただ、かつてバブル時代に番組を大量生産するシステムが出来上がったことに対して、藤村氏は必然性を否定はしない。

「何かがヒットすれば、すばやく同じように作って、大量に流通させる。それは家電などもそうで、テレビだけではなく、ここ20年くらいはどこもそういう傾向になっているはず」

 それに対して、藤村さんたちは真逆の番組作りをした。ローカル局がこぞって在京キー局と同じような番組を作ろうと努力する中、作家の個性が光る「1点もの」の番組を目指したのだ。

 しかも、それを一過性のもので終わらせず、何度も何度も10年以上にわたって再放送し続けた。バラエティは再放送しない、という常識から見ると異例のことだが、ここにも戦略があった。

 「極論を言えば、どんなにつまらない番組でもずっと流し続けていれば、誰かが引っかかってくれる。一過性の番組で、視聴率20%取ってハイ次、っていう流れの中で、僕らは視聴者の前に同じ番組を再放送という形で出し続けた。確かに視聴率は多少少しずつ下がったけど、視聴率をトータルで加算すると、こんなに『生涯視聴率』を取った番組はないんじゃないかと思う」

 機会を与えることが大事、と藤村さんは語る。「昔のドリフとかひょうきん族のようなお茶の間で大ヒットしたようなバラエティ番組は今では数少なくなっている。バラエティ番組は一過性のものとして再放送されないので、若い人は知る機会がないんです」。

 だから、藤村さんは「水曜どうでしょう」を放送し続けた。そうすることで、時代が変わっても、世代が変わっても、ファンを獲得できる確率を高めてきたのだ。

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DVDのほか、これまでの放送各話や新作を「HTB北海道onデマンド」サイトにて配信。1話315円で見ることができる。

 「結局は、面白いコンテンツを作ることが大事。昔は『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』みたいな、ものすごく面白い番組があった。あんな表現は、テレビでしかできない。ネットでもバカバカしいものはたくさんあるけど、すごくバカなものを手間かけて作って電波で流せるっていうのは、テレビの力だと思う」

 「僕も、昔のバラエティ番組に憧れて放送局に入ったから」と笑う藤村さんは、今のテレビ業界が「面白い番組」という基本をおろそかにしているのではないか、と危惧したあと、こう言った。

 「僕らがそういう番組を作らなきゃいけないし、作りたい。みんな先入観で、ローカル局で面白い番組が作れるわけない、って思ってるから。地方局っていうのは物を作るうえで自由なところっていうことを知らしめたい。『在京キー局の番組が面白い』と言われるより、『ローカル局で面白い番組見つけた』と言われたほうがステイタス高いじゃないですか」

 それでは、ローカル局がとるべき戦略とは何か? 好評発売中の「アスキークラウド 2013年9月号(創刊号)の特集「グーグルも狙うテレビ業界」では、藤村さんのインタビューを掲載。また、「テレビつまらない」論が出てくる背景、ビエラCM拒否問題の真相、そしてテレビ業界の未来について取り上げる。

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