家に帰ればロカビリー、幼稚園児にプレスリー
── お二人のバックボーンについて、DECOさんは以前の取材で深く聞かせていただきましたが、Teddyさんは謎が多い。DECOさんを2008年から知ってたということは、ひょっとしてボカロの音楽もよく聴かれます?
Teddy 聴きますね! ぼく自身が音楽プロデュースの仕事をしているのでネット音楽もよく聴きますし、ニコニコ動画も「(β)」の前からずっと見てます。実は雑誌もウェブも、アスキーはスゴく読んでたり。
── ありがたい限りです……。そもそも音楽に触れたきっかけは?
Teddy 両親がすごく音楽好きで、小さな頃からロカビリーとかロックンロールを聴かされて育ったんです。幼稚園児のころにエルヴィス・プレスリーを歌わされたりとか。
── 幼稚園児にプレスリー! なんという家庭!
Teddy 楽器は2歳の頃から電子オルガンとピアノをやってました。でもそのレッスンがスゴくいやで、その頃から自分の曲をどんどん作りたかった。
── 早熟過ぎますね。本格的に作曲を始めたのは?
Teddy 小6とか、中1のあたりです。
── DECOさんも同じ時期?
DECO 中2の頃です。14歳のときにギターを始めたので、大体一緒くらい。自分では覚えていないんですが、僕もピアノを習わせられそうになったらしくて、でも、嫌だって泣きながら逃げたらしいんですよ。
Teddy 僕は逆に親がロカビリーだったんで「ギターを習え」って。それが嫌でしたね。いまでも帰るたびに「おまえいつバンド始めるんだ?」って言われたりします。
── DECOさんとTeddyさんの家庭が逆だったらよかったのに(笑)。そこからDTMを始めるようになったきっかけは?
Teddy PCの自作ですね。小5のときです。
── じ、自作!? 失礼かもしれませんが、まさかそんなに「こっち側」(*ガジェット好きって意味です)の方だとは……。
Teddy 今も「モンスターハンター3 G」にハマってるぐらい、DECOさんも僕もゲーム好きだし、僕は毎週アキバに通っていました。自作を始めたのもFPSの「カウンターストライク」がもっといい環境で遊びたくて、知り合いでちょっと年上の方に教えてもらいながら作るっていう。テレホーダイの時間帯に「ファンタシースターオンライン」を遊びまくったのも思い出ですね。昼にずっとプレイしていて高額な請求がきて、親に怒られたりとか。
── それは……(笑)。最初に触ったDTMソフトは?
Teddy 「Ableton Live」の……バージョン2かな? 当時、β版を配布していたので。その頃から外部の機材をあまり使わず、ソフトシンセで完結させてます。インターフェースとMIDIキーボードくらい。今もエフェクトとかも全部内部で、一度も外に出してないですね。
── Liveって、当時まだ無名でしたよね?
Teddy 「ACID」とかが主流だったかなと思います。多分、ネットサーフィンしてて、新しい面白そうなソフトがあるってことで入れたんだと思います。ひきこもって、家で作って自分で聴いて、「これをどうしようか」みたいなのをずっとやってました。
── できた曲を誰かに聴かせたりはしなかったんですか?
Teddy まわりにDTM仲間もいなかったので、ネットの友だちに聴かせるくらいです。当時はあまり見せるサイトもなかったですし。でも聴けるトラックでいったら、1ヵ月に、10トラックは作ってました。
── 当時はどんなジャンルを聴いてたんですか?
Teddy 最初はヒップホップから入って、トランス、2005年くらいにフレンチハウス、エレクトロに出会って、そこからガーッと作り始めた感じです。BATTLE DJ※とかに影響されて、ラップとかR&Bとかロック以外の洋楽を聴いてました。
※ バトルDJ : DJ同士がスクラッチやミックスの仕方などDJのプレイスタイルで対決をするようにプレイするブロック・パーティー的なイベント。大規模なものではInternational Turntablist Federation(ITF)が主催したものが有名
── DJになるきっかけはBATTLE DJだったんですか?
Teddy もともとDJになりたかったわけじゃなくて、DTMありきで、自分の作った曲をダンスフロアで発表したいからDJをやることになったんです。ネットに曲を上げ始めたのはそのあとの2007年でMyspaceが最初。
DECO それ、僕も同じです。いろんな人に聴いてもらいたいと思ったことがきっかけで、その当時ニコ動で知ったボーカロイドを使った作品を発表しはじめたので。
── DECOさんはニコ動、TeddyさんはMyspaceがきっかけで、メジャーでも仕事をするようになったと。
Teddy Myspaceがなかったら音楽の仕事はしてないかもしれません。そこがきっかけでm-floの☆TAKUさんと出会って、いろいろお話させていただいて、幅が広がって仕事になったっていう感じです。