“iPhoneもどき”のニセケータイ「ciphone」などが中国だけでなく、日本を含む海外のガジェットマニアをも戦慄させて早や数年。iPhoneもどきのスマートフォンの新機種は今も続々と登場し、OSがAndroidになったことで「そこそこ使えるスマホ」となった。
ニセiPhoneを含め、メーカー不詳ないしは中小メーカーのガジェットは山寨機(中国語でシャンジャイジ)と呼ばれているのは、本連載をお読みの方ならご存知だろう。
日本の輸入代行店などを見るに、「山寨機=iPhoneなどのパチモノや怪しいデザインのケータイ」というイメージもありそうだが、例えるなら「中国で売られている服」のような「著作権的にOKだけど微妙」なデザインのものが多数派である。
今やどれだけ作られているかわからないほど沢山の“山寨Androidスマートフォン”が作られている。しかも当連載のインドやタイやベトナムのレポートで紹介したように、中国だけでなく周辺国でも中国発の山寨機、ないしは現地で作られた山寨機のようなものが売られている。
いまどきの中国産山寨機ととりまく環境は「所詮はニセモノを量産する山寨機」なのか「されど山寨機」なのか、将来は「より浸透する」のか「今のまま低空飛行」なのか、改めて再考してみたい。
中国でもノンブランドのスマホは売れない
まず山寨機を振り返ってみると、今でこそ「山寨機といえばケータイ」だが、最初に爆発的に売れたノンブランドガジェットはmp3プレーヤーだ。今も山寨mp3プレーヤーやmp4プレーヤーが100元(約1200円)以下で売られている。
しかし、ノンブランドAndroidスマートフォンは普段、中国の街中で売られているのを見ることはほとんどない。各キャリアが「2年契約縛りで0元Androidプレゼントキャンペーン」をやり、かつ各キャリア同士が宣伝合戦を行なっているから、多数派のガジェットマニアでない消費者は正規品販売店に走るのだろう。
メーカー品にしろ部品を組み立てるだけで付加価値をつけていないのだから、メーカー品もノンブランド品も同じように思えるのだが、そこは中国人に言わせれば「壊れたときに保証がないなんて大問題!」とのこと。ガジェットは壊れることを前提に考えるので、山寨機など買いたくないのだ(同様にレノボやハイアールなどの大企業のほうがサポート面は安心できるので、中小企業の製品は敬遠されがちだ)。
したがって、最新のiPhoneのニセモノがどれだけ健闘していてIT系メディアで好評を得たとしても、人柱志望のガジェットマニアしかそれには興味を持たない。そもそもとしてインターネットが普及した現在、以前と異なりIT系メディアを読む読者の割合は相対的に少なくなっている。
キャンペーンの後押しで安くなっているメーカー品より山寨機のほうが値段が高いとなれば、余計にニーズがなく、ニーズがなければ安い製品しか売れない。
なので山寨機や中古ケータイが売られるマーケットには、徹底的に安い昔ながらの期間工向け山寨機ばかりが売られている。人気オンラインショッピングサイト「淘宝網(TAOBAO)」でもciphoneやノンブランドAndroid搭載スマートフォンの売れ行きがよくないことが数字として確認できる。
中国の周辺国においても、中国製品の評判は「安かろう悪かろう」と非常によろしくない。できることなら中国製品は買いたくないがお金がないという消費者の現状から、ニーズとしては「(中国国内同様に)ノンブランドAndroid搭載スマートフォンよりも徹底的に安い携帯電話」にある。
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