VAIO Z開発者インタビュー
新VAIO Zを実現した独自性の高いハードの秘密に迫る
2011年08月17日 12時00分更新
追いかけてくるなら、その先を行けばいい
Ultrabookの先を行くVAIO
VAIO Z2はさまざまなメーカーの製品と見比べても、間違いなくもっとも先進的なモバイルノートのひとつである。他方でインテルは、「Ultrabook」の名称で、薄型・ハイパフォーマンスなモバイルノートパソコンのプラットフォームを準備中だ。Ultrabookが登場するようになると、安曇野の工場でなければ生産できず、高価なパーツを必要とするZ2のようなモデルの価値は、問い直される可能性もある。付加価値を売りにするソニーのようなメーカーにとって、Ultrabookのような動きはどう感じられているのだろうか?
金森「今は、アドバンテージとして結果を残せていると思います。おっしゃるように、薄くて軽い製品が他社からも、1年後にかけて出てくるでしょう」
「しかし、このサイズに標準電圧版CPUを入れられる技術があることは、そういった流れに対して一歩、二歩先に行っていると考えています。それだけでなく、ドックのソリューションや、シートバッテリーも用意しています」
「追いかけてくるなら、その先を行けばいい。Z2のような製品が、流れを作るかもしれないと思っています」
井口「危機感は今に始まった話ではないです。足を止めたら追いつかれると思っています。これまで同様、それ以上に危機感を持ちつつも、着実に階段を登っていけば、難題もクリアできるとおもっています」
「ここからは、発想の転換が必要になってくるかも知れませんね。少なくとも、 歩みを止めることなく、挑み続けないと……」
★
単に「薄いノートが欲しい」という人にとって、Z2のPower Media Dockは不要なものかもしれない。逆に「バリバリとゲームができるノートが欲しい」人にとっては、Power Media Dockの能力はまだ不満かもしれない。
しかし、Z2のように「まだ世の中にない」挑戦をすることで、汎用的なプラットフォームとの差別化が初めて実現できる。シートバッテリーを最初から想定して開発するような発想も同様だ。
量産力に優れたメーカーに飲み込まれないために、ソニーは「ソニーにしかできないこと」をアピールし続けるしかない。開発陣にとってもユーザーにとっても、Z2はそのような存在のモバイルノートなのだろう。
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。最新刊「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)が発売予定。
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