日本経済新聞系列の広告代理店である日本経済社は5日、「震災後、大手企業の経営課題やITシステムへの取り組みはどう変わったか」と題する調査結果を発表した。
同社では、IT関連製品・サービスの導入に関与するビジネスパーソンを対象に、製品・サービスの導入時に重視する点やIT企業の評価・イメージ、参考にしているメディアや情報源等を把握し、B to Bコミュニケーション戦略立案の基礎データとするため、「IT導入関与者調査」を定期的に実施している。
同社は今年6月にも調査を行なったが、その際に「先の東日本大震災が、大手企業の経営課題やITソリューション分野にどのような影響を与えたか」、「今年度のIT予算の動向や在宅・モバイル勤務の状況」についての質問も行なったという。今回発表されたのは、調査対象者2060人のうち、従業員規模300人以上の大手企業に勤務する対象者1113人についての報告だ。
この調査では、「震災以降、早急に取り組む経営課題」は何か、「関心を持っている経営課題」の順位(ともに31項目)と比べてどう変動しているかを分析している。
関心を持っている経営課題で6位の「低電力、省電力への取り組み」は、震災以降、早急に取り組む経営課題では1位に順位が上がっている。「環境への取り組み、省エネルギー化」は、14位から3位に順位を上げ、電力規制による省電力や節電が経営課題で急務となっていることが明らかになった。
「事業継続計画(BCP)の見直し、強化」(25位→5位)では、回答者から「事業継続計画(BCP)を策定していたが、実際は機能しなかった。今後は想定外の事態に備えた実効性の高いものに再策定していく必要を痛感した」といった意見も寄せられたという。
また、今年度のIT予算は前年度より「増額」(31.2%)が「減額」(21.7%)を上回る結果となった。震災にもかかわらず今年度のIT投資は堅調で、今年度のIT市場が落ち込むことはなさそうだという。
それでは、クラウドコンピューティングの導入状況はどうなっているのか。現状/6ヵ月前の段階/1年前の段階それぞれについて質問している。
それによると、現状では「導入済みで満足している」(5.1%)と「導入済みだが改善を考えている」(13.2%)を合わせた「導入済み」が合計18.3%。さらに「未導入だが、導入を決め、比較・検討をしている」(16.3%)を加えると34.6%だった。1年前/6ヵ月前と比較すると、「導入済み」、「比較検討層」ともに増加しており、いよいよ導入期から成長期に突入してきた感があるとしている。
本調査ではほかに、
- 震災以降、在宅勤務システムやモバイルシステムの利用、データセンターの活用が早急に取組むIT分野
- ノートPCやiPad利用者の過半数で在宅・モバイル勤務が増加。特にiPad利用者はSNSやチャットを使った業務で先進的ワークスタイルの動きが見られる
といった結果が報告されている。詳細は下記のリンク先を参照のこと。