富士通(株)と富士通デザイン(株)は20日、両社が主催した国際的なデザインコンペ「FUJITSUデザインアワード2011」の受賞作品を発表した。世界中から寄せられた1000点を超える応募作品の中から、「2013年のノートパソコン」(LIFEBOOK部門)と「2020年の生活スタイル」(LIFE-DESIGN部門)の2部門で、グランプリ1作品、準グランプリ2作品を含む計10作品が選ばれた。グランプリ作品には3万ユーロ(約351万円)、準グランプリ作品には1万ユーロ(約117万円)などの賞金が授与される。
1000点以上の応募作品の中から見事グランプリを射止めたのは、LIFE-DESIGN部門に応募したリトアニアのEgle Ugintaite氏による「The Aid」。歩行を支える杖の中に、体調管理機能や移動ナビゲーション機能を取り込むことで、外出困難なユーザーが積極的に社会との関わりを持つことを支援するという作品である。
白と黒というシンプルで飽きのこないカラーリング、柔らかな曲線で形作られた腕を包み込む肘掛けなど、デザイン的にも非常に洗練された作品で、一目でグランプリ受賞というのも道理と感じる。
準グランプリの2作品には、LIFEBOOK部門の「Crowd」とLIFE-DESIGN部門の「Integral Cord」が選ばれた。CrowdはドイツのPhilipp Schaake氏によるデザインで、ディスプレー部とボディー部の2画面ディスプレーを備えた分離可能なノートとなっている。通常のノートパソコンのように、ボディー部分にキーボードを投影して使うこともできれば、アプリケーションに合わせた独自のユーザーインターフェースに変えることもできる。
ディスプレー部のバックカバーにも着目し、パソコンを閉じた状態でもさまざまな情報を投影できるなど、美観と機能が洗練された形で融合している。
もうひとつの準グランプリ作品であるIntegral Cordは、柔軟に曲がるコード状のディスプレー兼コンピューターといった、非常に斬新なデザインと機能の機器だ。作者はドイツのRaphael Lang氏、Yu Lin Hou氏、Chan Wing Tak氏。コードで円弧を描くと、その内側に映像を投影してディスプレーとなるほか、コードの内側に多数埋め込まれたカメラで手の動きを捉えて、キーボードを叩いたり画面にタッチしたりといったパソコンの操作を実現する。
さらにコードの一部で小さな円弧を描くと、そこにもまた別の情報を表示できる。複数人での操作も可能で、コード同士を連結することで表示範囲を拡大したり、データ交換を行なうといった機能も想定されている。まさに未来のコンピューターといった作品だ。