CPU各種のロードマップアップデートに続いて、今回はインテルのチップセットロードマップをアップデートしよう。こちらも以前の解説から丸1年経過した。まずはデスクトップ向けについて解説しよう。
性能面でも改善されたIntel 6シリーズ
連載35回の解説は、ちょうどIntel 5シリーズチップセットがリリースされた直後であった。ロードマップ図では5シリーズも記しているが、前回との相違点は1ヵ所だけである。35回では「Intel Q57」の低価格版について、名称を「Intel Q55?」、登場時期を「2010年5月?」と記していた。実際にはQ57ではなくH57の廉価版という扱いで、最終的に「Intel B55」という名称になり、正式発表は2010年6月1日となった。
5シリーズの次は、「Intel 6」シリーズチップセットである。まず2011年1月に、「Cougar Point」こと「Intel P67」「Intel H67」チップセットが発表になったが、わずか1ヵ月で全量リコールになったという話は、たっぷりニュースになっているので読者の皆様もよくご存じであろう。
すでに問題を修正した「B3 Stepping」のP67/H67の出荷が開始されており、一部のメーカーはマザーボードの交換や、B3 Steppingを搭載した製品の出荷を始めている。1月に登場したSandy Bridgeの盛り上がりは、この問題で出鼻を挫かれた感はあるものの、なんとかリカバリーに向けて推移しているといったところか。
このIntel 6シリーズチップセット、USB 3.0の統合は完全に放棄しており、こちらは次の「Panther Point」こと7シリーズチップセットに持ち越しとなった。とはいえ以下のような改良が導入されており、特に最後の項目はUSB 3.0のチップを接続する際に非常に重要となる。
- SATA 6Gbpsに対応したSATAポートを2ポート内蔵。
- DMIがPCI Express(PCIe) Gen2相当の「DMI 2.0」に切り替わる。
- チップセット側のPCIeレーンも、従来の「なんちゃってPCIe Gen2」から「本当のPCIe Gen2」になった。
ところで、上の何が「なんちゃって」なのかという話だが、Intel 5シリーズの場合、PCIeポートは「PCI Express Base Specification Revision 2.0」準拠をうたっているが、転送速度そのものは片方向あたり2.5GT/秒でしかない。Base Specification Revision 2.0は2.5GT/秒と5GT/秒の両方をサポートしているし、5GT/秒準拠が必須というわけではないから嘘は言っていない。だが、2.5GT/秒どまりなら、「Revision 1.1相当」というのが正しい言い方ではないかと思う。
それがIntel 6シリーズでは片方向あたり5GT/秒と、今度こそ正しくRevision 2.0準拠となっている。
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