サーバーならではの特別な要素を見てみよう
信頼性から省電力まで!最新サーバーのスペックを見る
2010年11月11日 09時00分更新
サーバーの処理能力(性能・パフォーマンス)
サーバーは複数のクライアントからの要求を、同時に処理しなければならない。また、多数の要求を同時に処理するためには、個々のタスクの処理時間を短くする必要がある。
まず、サーバーの核であるCPUだが、1つ1つの処理を高速に行なうため、動作クロックが高速でキャッシュ容量が大きいCPUを搭載可能だ。また、多数の処理を並列で実行するため、複数のCPUを搭載でき製品がほとんどだ。IA(Intel Architecture)サーバーであれば、マルチコアのCPUが利用できるので、コアの総数(=1つのCPUに内蔵されたコアの数×搭載したCPUの数)が多いほうが有利である(写真3)。
またサーバーは、メモリの搭載量が大きく、かつ、動作クロックも速い。メモリの規格は複数あるが、
- DDR3
- DDR2
- DDR
の順に動作クロック数を速くできるため、高性能である。
サーバーのHDDは、容量が大きく、回転速度が速い。また、キャッシュ容量が大きいのが一般的だ。また、ディスクの接続(転送)規格として、高速で信頼性の高いFC(Fibre Channel)やSAS(Serial Attached SCSI)がサーバーに採用されている。
クライアントでもギガビットEthernet(GbE)インターフェイスがあたり前なので、サーバーではGbEのインターフェイスを複数搭載し、並列で送受信することで通信能力を高めている。
企業の規模拡大にあわせられる「拡張性」
企業のネットワークは時間とともに成長していくので、将来的なユーザーの増加、クライアントの増加に合わせて、サーバーの処理能力を拡大できることが要求される。
CPU | より高速なCPUに換装できる、複数のCPUを搭載できるほうが拡張性が高い。IAサーバーであれば、搭載可能なコアの総数が多いほどよい |
---|---|
メモリ | 最大搭載量が大きいほうが、拡張性が高い |
HDD | 筐体内に搭載可能な台数が多いほうが、拡張性が高い |
拡張スロット | 拡張スロットの数が多いほうが、拡張性が高い |
電源 | 電源容量が大きいほうが、拡張性が高い |
冷却ファン | 電気部品を増設すると発熱量が増えるため、ファンが大型・複数であるほうが有利である。ファンを増設できるとさらによい |
管理者の負荷を軽減する「管理性」
多数のサーバーをデータセンターに集中設置したり、あるいは管理者のいない工場や支店に設置して無人運転を行なうケースが増えている。そこで、管理者がサーバーを遠隔地から操作できるような特殊な機構(ハードウェア・ソフトウェア)を備えていたり、増設することが可能なサーバーが必要とされる。
サーバーのベンダーにより商品名称は異なるが、サーバー本体のCPUやLANインターフェイスとは別に、遠隔監視用のCPUやLANインターフェイスなどを持つユニットや増設カードが「マネジメントコントローラー」や「サービスプロセッサカード」だ。これらの装置は、サーバー本体とは独立した外部電源で動作する。そのため、サーバーの本体が障害などでダウンしても、LANやモデムを介して遠隔地からサーバーの状態監視や、サーバーの再起動などの操作が可能になる。また、独自の液晶パネルにより、筐体を開けなくても障害の状況を把握することが可能なコントローラーもある(写真4)。
コストやエコが目的ではない「省電力」
サーバーの機能のうち、この数年の間に急激に注目度が上がっているのが、省電力能である。サーバー用CPUでは、コア数やメモリの搭載量が増え、またそれらの動作クロック数が高速化したことにより、何も対策をしなければ発熱量や消費電力は増え続ける。HDDの回転数の向上や、ネットワークの高速化も、同じような結果を生む。
さらに、ラックマウントサーバーやブレードサーバーといった省スペース型のサーバーが増加したことで、特に大量のサーバーが設置されたデータセンターで、排熱容量と電気容量が追いつかなくなるという問題が生じている。実際、1990年代半ばに完成した都心のデータセンターで、メインフレームや大型UNIXサーバーがリプレースされたあとに多数のサーバーラックを建て、多数のサーバーを詰め込んでいったところ、ラックの半分程度しか使っていないのに電気容量が不足して、新規のサーバー導入がストップしたケースもあった。そのため、省電力が意識されるようになり、消費電力あたりの処理能力が注目されるようになった。
省電力を実現するための要素は、「省電力CPU」と「マルチコアCPUの省電力機能」。ブレードサーバーなど、単位面積あたりの設置台数が多くなるサーバーでは、ネットブックなどに使われる省電力CPU(インテルのAtomプロセッサーなど)を採用した製品が出ている。(写真5)
また、最新のインテル製CPUであれば、アイドル時にCPUコアやキャッシュメモリなどコンポーネントの電源を遮断する「ディープ・パワー・ダウン・テクノロジー」や、各CPUコア単位の電源ON/OFFを行なう「インテリジェント・パワー・テクノロジー」といった省電力機能が搭載されている
AMDのCPUも、「PowerNow!」と呼ばれる同様の機能がある。Windows Server 2008 R2など、OS側もCPUの省電力機能への対応が進んでおり、これらの機能をサポートしたサーバーであれば、サポートしないサーバーよりも消費電力を低く抑えることが可能である。
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