Let'snoteに新ブランド「J」が登場した。ご覧のとおり、いままでのLet'snoteとは、かなりテイストの異なる製品に仕上がっている。今回は「スタンダードモデル」こと、下位モデルにあたる「CF-J9NYABHR」をテストした。パナソニックの提案する「ジャケットスタイル」の価値はどのようなものなのだろうか?
ジャケットで衝撃や傷を緩和、熱も防止
Let'snote J9最大の特徴は、言うまでもなく「ジャケットスタイル」にある。これまでのLet'snoteは、天板に空間構造を使って対衝撃性を高める「ボンネット構造」を採用してきたが、Let'snote J9ではボンネット構造を採用していない。その代わり、対衝撃性と傷などの防止のために新たに導入したのが「ジャケット」である。
パソコンを保護するためにカバーをつけて持ち歩いている、という人は少なくないだろう。誤解を恐れずに言えば、ジャケットはそれを「公式」化し、本体と一体化して使えるようにしたものだ。このジャケットは単なるフェイクレザーのカバーではなく、内部に堅い心材が入っている。そのため、それだけで相当な堅牢性を持つ。それを本体にネジと専用のフックで止め、「くるんだまま使う」「くるんだまま持ち歩く」のが、ジャケットスタイルの正体である。
ジャケットの利点は、もちろん頑丈で傷に強いことだ。短時間持ち歩いて使ってみたが、かなり安心できる印象を受けた。別途カバーを用意する必要がないことを考えれば、荷物が増えるわけでもない。
また、膝などの上で廃熱を感じにくい、というのも見逃せないポイントだろう。計測してみると、Let'snote J9はフルパワーで動く場合、やはりそれなりに発熱してしまう。底面は、ジャケットがないと39度近くまでに到達するが、ジャケット利用時にはジャケットによって熱が緩和され、36度まで下がる。Let'snote J9が通常電圧版のCPUを使っていることを考えると、全体的な放熱性能はかなり高いといえそうだ。
他方で、膝の上や卓上で使っていると、いろいろと納得いかない感触であるのも事実だ。
ジャケットを使う分だけ、本体はどうしても厚くなる。特に卓上では、薄いとはいえない本体に加えジャケット分の厚みとなるため、これまでのLet'snoteよりも厚く感じる。ディスプレー面側はフックで止まっているため、ジャケットはある程度動く。
逆に底面は、本体底面にしっかり固定される。ただし固定方法は、アルミ製と思われる太いビスによるもの。デザイン上かなり残念な見栄えである。また、ビス自身が堅く、エッジのあるものなので、革製品などの傷がつきやすいものを一緒に入れる際は、少々気を使いそうだ。
もちろん、Jはジャケットを外して利用することもできる。こうすると、外見はかなりシンプルなパソコンになって、重さも約970gと、かなり軽くなる。ジャケットなしだと天板などの強度が大幅に下がっているのか、と思われそうだが、どうやらそうでもなさそうだ。マグネシウム合金製の天板・底板を採用しており、これまでのLet'snote並とは言わないが、一般的なノートパソコンと同等の堅牢性が維持されていると思われる。
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