地デジ番組を高速変換しながらBDにまとめる
SpursEngine搭載のQosmioでは、録画番組やビデオカメラから取り込んだハイビジョン動画をBDやDVDに書き出す際に、SpursEngineを使って変換しながら書き出すという、他社にはない機能を備えている。録画時は無変換(TS)やXPモードといった高画質な状態で録画しておき、BD-R/REなどに保存する際に、適当な画質に圧縮して多くの番組を保存することが可能になる。
この機能を、TSのままでのBD-R書き出し、LPモードで録画した番組の書き出し、TSからLPに変換しながら書き出しの3パターンで、1時間の地デジ番組書き出しにかかる処理時間を比較してみた。使用したディスクは6倍速記録対応のBD-Rである(BDドライブ側はBD-Rへの書き込みは最高6倍速)。
TSのまま | LPのまま | TS→LP変換 | |
---|---|---|---|
処理時間 | 20分44秒 | 8分59秒 | 30分22秒 |
CPU使用率 | 40%前後 | 30%前後 |
結果は上記のとおり。あらかじめLPに変換してあるものが一番速いのは、書き込むデータ量自体が半分以下で済むからだ。TS→LP変換しつつの書き出しは一番時間がかかっているが、TSのままと比べて10分増し程度だし、CPU使用率はむしろ少ない。処理中はSpursEngine中のSPを1基、変換処理のまま使い続けていた。SPは4基あるので、変換プログラムの改良が進めば、あるいはこの処理時間はもっと短くなるかもしれない。
同じようなことをSpursEngineなしで実現するには、動画変換ソフトを使って変換後に書き出すしかない。その場合、当然変換にかかる時間ははるかに増大するし、書き出し時間も別途必要になる。SpursEngineを持つQosmio DXの大きなアドバンテージと言えよう。
また、SpursEngineの機能でもうひとつの魅力が、DVDやネット動画を高画質化する超解像技術「レゾリューションプラス」だ。「DVDがBD並みに」とはさすがに行かないが、不自然にならない範囲で輪郭を強調し、色を鮮明に補正してくれるので、見栄えはかなり良くなる。
ディスプレー側で同種の機能を持つ製品もあるが、一体型デスクトップではこうした機能を持つ製品はほとんどない。ニコニコ動画には対応していないのが残念だが、ネット動画をよく楽しむ人には嬉しい機能だろう。
地デジパソコンとしては悪くないが
25周年記念としてはやや物足りない面も
Qosmio DXはスタイリッシュなデザインと、SpursEngineによる画像処理技術という特徴を備え、テレビ機能を持つ地デジパソコンとして充実した製品に仕上がっている。ただし、スペックがほぼ同等でテレビ機能が非常に充実したVAIO J(VPCJ118FJ)と、店頭実売価格が同等という点を考えると、「最も優れた地デジパソコン」とまでは言えない。
ベースとなったコンポーネントがQosmio Vと同じという点もあってか、「25周年記念モデル」というキャッチフレーズのわりには、「充実した普通の地デジパソコン」というレベルに止まっているのも、少々もったいない印象を受ける。記念モデルをうたうなら、ノートとは違う一体型デスクトップならではの価値というのを見せてほしかった。
一方でハイエンドなテレビ機能にこだわらないユーザーにとっては、過不足ないテレビ機能を備え、SpursEngineによる高速変換や超解像、スタイリッシュなデザインを備えるQosmio DXは、競合製品と並べても一歩前に出る魅力を持った製品と言えよう。どこに力点を置くかで、評価が変わる製品である。
dynabook Qosmio DX DX/98M の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-450M(2.40GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 21.5型ワイド 1920×1080ドット |
ストレージ | HDD 1TB |
テレビ機能 | 地上デジタル放送×1 |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n |
インターフェース | USB×6、HDMI入力、D4映像入力、コンポジットオーディオ入力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅531×奥行き190×高さ405mm |
質量 | 約8.5kg |
OS | Windows 7 Home Premium 32/64bit(セレクタブル) |
価格 | オープンプライス(実売価格 18万円前後) |
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