3分に1台のペースで
PCサーバーを組み立てる
アジアからの強風が直撃するPCサーバーの世界だが、富士通アイソテックは03年から富士通全社で始まった「生産革新運動」を推進。まずは身の回りの整理整頓をはじめとした無駄取りをすることで、生産性向上を目指した。05年には現在の成果に繋がるトヨタ生産方式を導入し、コンサルティングも受け始める。ラインのボトルネックを発見して解消することで「整流化」を進め、現在の生産性を獲得するに至っている。
その成果は着々と上がっており、昨年は1ライン47人×6ラインで1日440台を生産していたものが、今年度は12万台製作の目標をかかげ、1ライン49人×4ライン、1日600台の生産が可能となっている。
PCサーバーの部材は、サプライヤからの搬入と受け入れ検査後、倉庫から出材され、このラインにやってくる。ラインで行なわれる作業は以下の通りだ。
- キッティング
- 1つのラインで様々な製品を組み立てるため、製品毎に使用する部品は異なる。各製品に装着する部品をひとまとめにセットすることをキッティングと言うそうだ。
- 組み立て
- キッティングされたパーツを組んでいく。PC自作と同じような作業をするのだが、その速度はかなりのもの。
- 試験
- 動作確認などの基礎試験や高温ランニング試験を行なう
これらの工程をラインでは見たが、製品はこの後、ソフトウェアのインストールなどを経て梱包され、出荷される。
ラインの作業風景写真を見ていただければ分かるが、組み立て現場には女性作業員も多い。そして作業自体はパソコン自作と似ていて、ディスクの接続からCPU、メモリのインストールが行なわれている。
彼女らの動作はたいへん素早く、まるで自作マニアのようだ。なんだか、お母さん達がこぞってパソコンを自作しているような、シュールな印象を受けた。しかし、そんなに呑気な印象を持つのはお気楽な見学者だから。作業員の皆さんは「1秒1円」の標語のもと、きっちりとした仕事をこなし、3分1台の組み立てスピードを実現しているのだ。こちらがお辞儀をすると挨拶を返してくれる余裕を見せつつも、目の光は真剣そのものだった。
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