サブ機としてのK-x
――操作系のボタンなど数、位置とも変更が無いにもかかわらず、増えた操作機能を割り振るのに苦労などありませんでしたか?
小迫:見比べていただければわかると思いますが、「ライブビュー」ボタンが新たに加わったことで、機能の割り振りをなおしていく中「削除」ボタンの位置について、デザイナーを含め、メカ設計の担当者は悩みました。そこでよくよく考えてみると「削除」ボタンは再生時にしか使用せず、またフラッシュは撮影時にしか使用しないボタンであることに気が付きました。K-mからつながる企画意図に右手側に操作系を集中させる「ワンハンド」での操作というのもありましたが、過去に左側に操作系があった経緯もあるということでフラッシュボタンと重複させる形にしました。
――あと、K-mでは「ヘルプボタン」だったものがK-xでは「グリーンボタン」に変更されていますね。
若代:K-mではトライアルという意味で「ヘルプボタン」を採用しました。しかし、意外にデジタル一眼レフカメラを使うユーザーは、コンパクトデジタルカメラのユーザーと比べると、もともとある程度知識を身に着けた方が多く、説明書なども積極的に読まれる方が多いようです。K-mの「ヘルプボタン」も別の機能に割り当てているという方が多いことが購入者からのヒアリング調査でわかりました。さらに、そういった中では「グリーンボタン」に対する要望がサブ機として使用しているユーザーから多く、今回のK-xでは「グリーンボタン」としての機能を初期設定にしました。K-mの頃の「ヘルプボタン」に別の機能を割り振るという機能はK-xでも継承しています。
――やはり、サブ機として購入するユーザーは多いのですか?
若代:エントリークラスですので、軽量・コンパクトに仕上がっています。上位機種は気合を込めた撮影で使い、エントリークラスは普段からかばんの中に入れて落ち歩きたい方が多いようです。さらに言えば、ペンタックスには「Limitedレンズ」というコンパクトで特徴的なレンズなどもありますので、他社のデジタル一眼レフのユーザーでもサブ機として購入される方がいるようです。
コンパクトなボディに機能を凝縮
――K-xでは「ライブビュー」や「動画」機能など新たに搭載された機能がたくさんありますが、このコンパクトなK-xのボディに搭載するに当たって苦労されたのではないですか?
山元:今回、回路設計的にはすべて新規ですが、ファームウェアに関しては「K-7」で構築したものをベースにしています。しかし、K-7とはセンサーも違いますし、ライブビューや動画に関してはやはり苦労しました。
――以前とは違って、今回K-xに採用されている(有効)1240万画素のCMOSセンサーは新規のものですよね。今までどの機種でも経験していないセンサーで苦労されたのではないですか。
山元:まずコスト重視という命題がありましたので、画質に影響がない範囲で回路をシュリンクして簡素化することから進めていきました。センサー周辺も電源回路なども、時間をかけて詰めました。ノイズを低減させるために、細かい受動部品などもとっかえひっかえ比較して、回路全体でノイズが少なく、しかもシンプルな構成になるようなものを目標にやってきました。
――以前にK-mでは回路を何回作り直したかわからないというような話をうかがったのですが。
山元:そのあたりは習熟してきましたので、今回はそんなに多く無かったですね。K-mのときは私が無理を言いすぎたかもしれません(笑)。センサーとプロセッサーの相性もあり、その組み合わせでノイズの出方の傾向などが変わるのでベストを探りながらの作業でした。
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