メインストリームは「RV670」
バリュー向けは「RV620」
HD 2900シリーズはいずれも、ハイエンド向けGPUである。メインストリーム向けとしては、R600コアからシェーダーを省くとともに、65nmプロセスに移行した「RV670」および「RV620」の2つのコアが、それぞれ「RADEON HD 2600」シリーズと「RADEON HD 2400」シリーズとして、2007年6月に発表される。この2種類も、XTとPROの2モデルが用意されている。XT/PROのどちらも内部構成は同じで、動作周波数のみを制限したモデルであるのは、HD 2900シリーズと同じである。もっとも実際にはメモリーの違いもあるから、価格で見た製品バリエーションは、かなり多岐に渡ることになった。
ところでこのR6xxファミリーの特徴は、最初に述べたとおりDirectX 10に対応したこと。そのため内部はUnified Shader(統合シェーダー)構成になり、動画エンコード/デコード支援機構である「AVIVO」が第2世代のAVIVO HDに進化した。加えて、もうひとつ大きな特徴が、「Native CrossFire」への対応である。前世代までのCrossFireは、2枚のカードの片方にCrossFire専用コントローラーが搭載されている必要があった。さらに、スレーブ側のDVI出力を専用ケーブルでマスター側に戻すといった、面倒な処理が必要だった。
これがR600ファミリーからは、CrossFireのコントロール機能もチップ内部に統合されたため、もう“CrossFire Edition”といった特別の製品を使わなくても、同じカードを2枚揃えるだけでCrossFireが構成できるようになった。また2枚のカード間の接続も、NVIDIAのSLIブリッジに似たフラットケーブルだけで済むようになった。
このNative CrossFireは、R600だけでなくRV630でも可能だった。そこで一部メーカーは、RV630ベースの「RADEON HD 2600 XT」を2つとPCI Expressブリッジを、1枚のカードの上に実装するという「RADEON HD 2600 X2」を発表している(関連記事)。これはAMDの正式な製品というわけではなく、扱いとしてはあくまでもOEMベンダーが独自に構成した製品という事になっている。
性能的にも、CrossFireが効果的に働くシーンではともかく、通常ではRADEON HD 2900シリーズの方がはるかに高速で、価格もRADEON HD 2900 XT(GDDR3版)やRADEON HD 2900 PRO(GDDR4版)とほぼ同等。そのうえ消費電力も大差なしとあっては、あまり賢明な構成とは言えなかった。
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