5月27日、ネットワークビデオ製品を手がけるアクシスコミュニケーションズは、固定型ネットワークカメラ、ビデオエンコードなど8つの新製品を一挙に発表した。今後の監視カメラのデジタル化を見据え、「オープンスタンダード」な技術を盛り込んだ製品でシェア拡大を狙う。
オープンスタンダード技術で市場拡大を目論む
アクシスコミュニケーションズは1984年に設立されたスウェーデンのIT企業。古くからネットワークビデオ関連製品を専門で手がけており、ワールドワイドで高いシェアを誇っている。
発表会の冒頭に登壇したアクシスコミュニケーションズ AB社長兼CEOのレイ・モーリッソン氏は、「高い解像度を実現するHDTV、圧縮率の高いH.264、異ベンダー製品間の共通インターフェイスを実現するONVIFといったオープンスタンダード技術が確立しつつある。しかし、現状で監視カメラの多くはアナログベースで、導入率もせいぜい20%程度。デジタルのネットワークビデオ市場は、今後大幅に伸びる余地がある」と市場への期待を述べた。
同社の強みは、ネットワークビデオに特化した専用のASIC「ARTPECチップファミリー」だ。これは画像処理やプロトコル処理を高速に実行する監視カメラ専用チップ。H.264やHDTVなど、オープンスタンダードの技術を次々と投入し18カ月ごとに新しいチップをアップデートするという。
新製品の売りはどこでも設置できる耐障害性
主力となるネットワークカメラの新製品は、設置後に一方向に向ける固定ドーム型ネットワークカメラ「P33」。SVGA解像度の「P3343シリーズ」と、HDTV720pおよび1メガピクセル対応の「P3344シリーズ」の2製品があり、それぞれ「標準モデル」のほか「屋内耐衝撃モデル」、「屋外耐衝撃モデル」の3種類が用意されている。
過酷な設置環境に耐えられるよう内蔵ヒーター、ケーブルのシーリング、防湿薄膜などのメカニズムを搭載。これにより、-40~55℃という動作温度範囲、IP66レベルの防塵防滴性能を実現した。また、「ピクセルカウンタ」と呼ばれる機能で、固定ドーム型カメラで重要な焦点合わせやズームの調整が容易に行なえる。耐衝撃モデルは、ケースに耐衝撃素材を採用するほか、屋外モデルではサンシールドも装備。こうした複数のモデルはモジュール構造の設計により実現できたとのこと。
また、固定ドームネットワークカメラの新モデルとして1.3メガピクセル、HDTV720p対応の「M3014」も追加された。カバーに入れても、幅9cm・高さ3cmという目立たないサイズが売りになっている。そして、「Q7404 ビデオエンコーダ」は4台のアナログカメラを接続可能なエンコーダ専用機。動体や音声の検知が可能なほか、双方向で音声が扱える。
同社は2009年中に計30製品を投入する予定。日本ではパートナとの連携を深めて、こうした新製品をソリューションとして展開していく予定。実際、記者発表会後に同会場で開催された「Axis Communications Technology Showcase Tokyo 2009」では、さまざまな監視カメラソリューションが展示された。