安いチケットで海外旅行をしようと思ったら、けっこう無駄だなあと思うのがトランジットの待ち時間。乗り継ぎ便が1日1便しかなかったりすると、平気で10時間待ちなんてことも起こってしまう。そんな時、どうして過ごすか。空港のラウンジが使えればネットをするも良し、寝るも良し。昼間ならば入国して街を歩くも良いだろう。
だが、ASCII.jpの読者たるもの、トランジットでもマニア心を満たさなければならない。そこで今回は、国際空港の乗り継ぎ待ちの間に「世界選手権のバイク・レースへGO!」という無茶なプランを実行してみた。
実際に行ったのは去年の11月だが、これからの行楽シーズンに海外旅行へ行く人の参考になればと思い、この時期の公開とさせていただいた。
乗り継ぎ地のドーハでFIM世界耐久選手権をやっている!
エジプトの首都カイロから、エジプト航空935便でカタールの首都ドーハに着く予定の僕。定刻では14時着。今回はまっすぐ日本へ帰国するわけではないのだが、日本行きに乗り継ぐとなると、関西空港行きのカタール航空820便は日付が変わる深夜の0025時出発である。待ち時間は10時間以上ある。
ドーハ市内を観光してもせいぜい1時間くらい、カタール国立博物館を見学するとしてもさらに1時間くらい。どうするかと考えたところ、なんと今日(2008年11月08日)は2輪レース「FIM世界耐久選手権」の最終戦、ドーハ8時間耐久レースの決勝が行なわれているではないか。このシリーズの第3戦は鈴鹿8時間耐久レース。あの感動の真夏の祭典である。これは楽しそうだ。行くしかないだろう。
決勝レース・スタートは13時。調べてみると、空港からサーキットまでは車で30分くらいらしい。ということは、15時には現地について、6時間は耐久レースを観戦できる。「行ってしまおう」そう考えつつ、カイロ国際空港でチェックインに向かった。
そもそもドーハに着けるのか?
エジプトはカイロ空港のチェックイン・カウンターで、エジプト航空にチェックインしようとすると「カタールのビザは持っているか?」と聞かれた。もちろん、持っていません! だって空港で100カタール・リアル払えば即時発行ですよ。ノー・プロブレムっすよ。
ところが、端末をにらんでいるエジプト航空のおじさんが「ビザがないと入国できないので、発券できない」とか言っている。そんなはずはない、と強く言い続けること約5分。「こういう場合はマネージャーの決済がないと発券できない。あそこのマネージャー室に行って、決裁してもらってきてくれ」とのお言葉。カウンター奥のマネージャー室に行って事情を説明すると「マネージャーは席をはずしている。見つけたら教えるから、そこの右の方にいてくれ」と背の高い人が言う。
そのまま放置されて1時間。もう出発まで2時間ない。さっき、後で知らせるといった背の高い人はいなくなってしまった。その後、うっかり居眠りをしてしまった無防備な僕。目覚めたら、また1時間経っていた。もう出発まで1時間を切っている。これはヤバイ! どうしよう。思い切って通りかかった偉そうな人に声をかける。
「2時間も待っているって? どこ行きの便ですか? ドーハ!? もう40分後出発じゃないか! 誰か何とかしろ!」
急に問題解決を押し付けれれた部下さんはかわいそうに。端末の画面を後ろから覗き込むと「注意事項:ノーマル旅券の保持者はドーハ空港で100カタール・リアルを払えばビザを取得できる」と表示されている。ね、僕の言ったとおりでしょ?
約10分後、何が解決したのかは謎だが、搭乗券が発券された。出国審査と税関を通って歩いていくだけで、もう出発時間ギリギリ。最後の送りバスにやっと間に合った。ひとまず飛行機に乗れて良かった。これでドーハ8時間耐久レースに行ける。
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