このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

COOLPIX S10

COOLPIX S10

2006年09月26日 00時01分更新

文● 行正 和義

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 光学式手ぶれ補正機構と光学10倍ズームという強力な組み合わせに加え、撮影アングルの自由度が高いスイバルボディーの威力は大きい。単にハイ/ローアングル撮影しやすいだけでなく、自分の胸や腹に押し付けるようにしてホールドを安定させる“ウェストレベル撮影”を行ないやすいのはスイバルボディーならではだ。付属のレンズキャップはヒンジ付きのフタとなっていて、撮影時には側面にスイングオープンするだけというのも手軽だ。

サンプルその1 アップ
サンプル1 広角側は38mm相当と、それほど広角寄りというわけではないのが残念だが、周辺部の画像の歪みは少ない。プログラムオート、1/314秒、F4.0、ISO 100。元画像は2816×2112ドットで、640×480ドットにリサイズおよびトリミングした以外の補正はかけていない。
サンプルその2 アップ
サンプル2 撮影サンプル1と同じ場所を最大望遠で撮影。望遠時もディテールが甘くならずシャープな仕上がりとなっており、光学式手ぶれ補正もあって望遠撮影では威力を発揮するだろう。プログラムオート、1/250、F4.0、ISO 100。

 撮影結果は良好で、彩度や輪郭強調などの画像処理は控えめながらしっかりとした発色と絵作りとなっている。高倍率の望遠機は広角側の周辺歪みや望遠側の解像力不足などが起こりやすいが、これといったレンズ描写力不足も見られないのも非常にいい。

サンプルその3 アップ
サンプル3 高感度で夜景を撮るような状況ではやはりざらついてしまうものの、ノイズは比較的抑えられており輪郭などががたついてしまうこともない。広角側で撮影、露出補正+2.0。プログラムオート、1/2.7秒、F3.5、ISO 800。

 しかし気になるのはボディーデザインを始めとする操作性だ。S4のボディーは前面と背面が平行な直線デザインだったのだが、本機では太いレンズ部のある左側から、グリップとなる右側に向けて曲線を描きつつ細くなるというデザインに変更されている。右側に向かって細くなるグリップ部というのは、どう考えてもホールド性に問題がある。本体前面にあるCOOLPIXのロゴ部分の表面がギザギザに加工されていて指が滑らないようになってはいるのだが、グリップを握り込むようなホールドができるわけでない。リチウム充電池を採用したことによってボディー部の容積を抑えることができ、少しでも小さく見せるための工夫なのだろうが、どのみち光学式手ぶれ機構と光学10倍ズームのレンズ部の太さによって厚み自体はそれほど変わらないのだから、あえてグリップを若干薄くしたデザインは理解に苦しむ。本機に限らず、同社のコンパクト機の多くがスリムデザインを優先して、ホールド性をなおざりにしているように見えるのは残念でならない。

サンプルその4 アップ
サンプル4 彩度強調が弱めなので十分な日差しがないと地味な発色になりがちだが、空の青さや植物の緑などは極めて自然な色合いと言える。マクロ撮影、プログラムオート、露出補正-0.3。1/260秒、F4.0、ISO 50。

 また、マルチセレクタの裏側にあたる前面は滑らかとなっていてスティックを上下左右に動かすための力が逃げやすいのも気になったほか、本体上部の端に設けられたズームレバーも操作する上でシャッターボタンから指を離してしまうことを考えれば従来型のシャッターボタン周囲のリングのほうが使いやすかったように感じる。メニュー/画面表示にしても、シャッター半押し後にシャッター速度が表示されないため手ぶれの限界値の目安が付きにくく、ISO感度をマニュアル指定した場合も画面端に「ISO」と表示されるだけで数値が出ないなど、オート中心の操作性とはいえやや不親切な印象がある。

サンプルその5 アップ
サンプル5 地面に置くようなローアングルでもきっちりフレーミングできるのはスイバルデザインならではの利点。プログラムオート、1/78.6秒、F3.5、ISO 100。

 スイバルデザインは同社のベストセラー機“COOLPIX 900”シリーズからの伝統的なスタイルであり、ボディーとレンズを平行にしておけば収納時には比較的場所を取らず、撮影時にぐいっと捻るだけでアングルを決められるボディーはバリアングル液晶パネルを搭載したデジタルカメラに比べても軽快に使える。加えて、ボディーとレンズを両手で握り込むことによる安定感も格別なものがある。デザイン的にやや気になるところはあるものの、光学式手ぶれ補正+光学10倍ズームを備えることによって望遠系デジタルカメラの中でも非常に強力な製品であることは間違いないだろう。

COOLPIX S10の主なスペック
製品名 COOLPIX S10
撮像素子 有効600万(総618万)画素 1/2.5インチCCD
レンズ 光学10倍ズーム、f=6.3~63mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~380mm)、F3.5
静止画撮影 最大2816×2112ドット
ISO感度 オート、ISO 50/100/200/400/800相当
動画撮影 640×480ドット/30fps
液晶ディスプレー 2.5インチTFT(約23万画素)
記録メディア 内蔵16MBフラッシュメモリー、SDメモリーカード
インターフェース USB、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション)
電源 専用リチウムイオン充電池(EN-EL5)
撮影可能枚数 約300枚(CIPA準拠測定値)
本体サイズ 約112.5(W)×40.5(D)×74.5(H)mm
重さ 約220g(本体のみ)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン