(株)アッカ・ネットワークスは9日、2005年中間期の決算の発表と中期的な戦略の説明を行なった。
2005年上半期(2005年1月から6月)の業績は、売上高が203億8800万円(前年同期比8.9%増)、営業利益が12億9800万円(46%減)、経常利益が11億1620万円(50%減)、当期利益は15億4500万円(24.1%減)、修正EBITDA(金利・税金・償却前利益)が72億7000万円(6.8%減)。前年同期と比べて増収減益という結果だが、経費削減策が功を奏し、経常利益は予想の7億円から11億1620万円に上方修正した。また、経常利益は1億9200万円だった2004年下半期との比較で503.3%の増加となっている。
加入者数は129万4000人で、うち3万8000人が法人顧客。残りが個人となる。同社では2005年下半期も増益基調であるとし、通期の経常利益は当初予定通り前年比2.6%増の25億円強を達成できるとしている。
ADSLのアッカは終わる
本日都内で行なわれた記者会見には、アッカ代表取締役社長の坂田好男(さかた よしお)氏と代表取締役副社長の湯崎英彦(ゆざき ひでひこ)氏が出席した。
代表取締役社長の坂田好男氏 | 代表取締役副社長の湯崎英彦氏 |
2007年までの中期的な戦略として両氏が挙げたのは、企業向けの新型WAN(IP-VPNと広域イーサネット)への取り組み強化と“M2M”(Machine to Machine)と呼ばれる監視システムやメンテナンス用途の事業。
企業向けでは、帯域保証型光サービスの投入や、割安なVPNを実現できる低価格企業向けDSL、個人向け光サービスとの歩調を取った格安な光サービスの投入を予定。2007年までの純増レベルを年1万5000回線に引き上げるとともに、新型WAN(IP-VPNと広域イーサネット)の累計シェアを現在の7%程度から10%程度に引き上げることを目標とした。M2Mに関しては、7月に日本自動車開発(株)と駐車場向け監視システムで提携したが、このM2M事業で2006年には20億円、2007年には75億円の売上を計上したいとした。湯崎氏は、M2M事業は回線事業だけで5300億円以上、ソリューション事業を含めると1兆4000億円以上の規模があるとした。
一方個人向けのDSL市場は成熟期に入り、2006年度には純減すると予想。USENグループの(株)ユーズコミュニケーションズ(UCOM)との提携によるマンション向けのFTTH市場で2007年度に10万加入を獲得し、売上高40億円を目指す。DSL事業では、下り最大50Mbps超/上り10Mbpsという高速なサービスと、エントリー向けの3Mbpsという両極の展開を重視する。
個人向けブロードバンド市場の推移 | 事業セグメントの構成比ではM2Mの事業を3番目の核にしていく方針 |
湯崎氏は、事業セグメントごとの売り上げは2007年までに個人向けが62%(332億円)、企業向けが23%(125億円)、M2Mが14%(75億円)となるという観測を示した。
一方坂田氏は2007年以降の中期的な経営ビジョンとして“ADSLのアッカは終わる”というキーワードを掲げた。これはADSLの市場成長が止まったというネガティブな意味合いの言葉ではなく「“ADSLのアッカ”がブロードバンド市場とともに成長し、コミュニケーションサービスカンパニーとして新たなフェーズに入っていく」という意味合いだという。重視するのは「ブロードバンド回線の価値を有効活用する」点だという。
ブロードバンド市場の今後の動き | 個人向け市場の将来的な動向 |
坂田氏は、個人市場ではADSLが4800億円、進展しつつあるFTTHの事業が4400億円の規模があると説明。今後は映像/音声/データを一括して扱う“トリプルプレイ”やそれにモバイルを加えた“グランドスラム”、固定電話と携帯電話が融合したFMC(Fixed Mobile Convergence)、電力線ネットワーク(PLC:Power Line Commnunication)といった波がやってくるとし、積極的な取り組みを行なっていきたいと述べた。
企業向け市場の規模としては、主に大企業をターゲットにするダークファイバーを利用した光サービス、バックアップ回線向けのDSL、中堅・中小企業向けの低コストで高品質なVPN用の光/DSL回線、低価格な光アクセス回線といった既存の市場だけで約3100億円の規模(うちアッカが得意とするプレミアムサービスだけでも約2000億円の規模)があり、無線LANやFMCも大きな市場になるとした。