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巷ではレコードなんて,ほとんど見かけなくなってしまった。“33RPM”や“45RPM”という言葉にピンと来る人も,めっきり減ったのではなかろうか? しかし音楽メディア=CDという図式が定着した今でも,アナログレコードはクラブDJたちの間では重宝されていている。「ドゥヒュドゥヒュ」というスクラッチ音を楽しむのに格好の楽器となるからだ。
そんなスクラッチプレイを楽しむための機器としては,松下電器産業「テクニクス」ブランドのアナログレコードプレーヤ「SL-1200シリーズ」が有名だ。針飛びのしにくさや,激しいスクラッチにも耐えるモーター性能などがDJプレイヤーに高く評価され,1号機の登場から30年以上経つ今でも多くのDJに愛用されているスタンダード機だ。その血統を継ぎ発表となった「SL-DZ1200」は,型名にSLの冠がついた,最初のデジタル音楽プレーヤである。
ターンテーブル中央にはCDのトラック情報やタイムコードなどを表示するLCDモニタを備える。 |
フロントにあるスロットにCDを差し込み,「PLAY」ボタンを押すとターンテーブルが回転し始める。回転したままの盤面を手のひらでブレーキをかければ音楽も止まり,ゆっくり動かせば連動してゆっくりと音が鳴る。操作感はまるでレコードプレーヤそのものだ。それもそのはず,ターンテーブルを回転させるモーターは,名器「SL-1200シリーズ」と同様にギアやプーリーなどを一切使わない「ダイレクトドライブモーター」を採用しているとのこと。さらに,ターンテーブル上面にはレコード板のような溝が彫られており,手触りまで再現されている本格派である。
CDの入れ替えは前面に直接挿入するスロットローディングタイプ。右側にはSDメモリカードスロットがある。 |
SL-DZ1200はCDだけじゃなく,SDメモリカードやCD-Rに焼いたMP3データでも同様に操作できるので,街中での雑踏音や,テレビなどから録音した音声なんかをテキトーに本機に放り込んでスクラッチプレイできる。これはデジタルじゃなければ味わえない手軽さだ。