日本電気(株)(NEC)は26日、本社ビルで記者説明会を行ない、PDAやTV表示用ウェブブラウザーなど、表示解像度の限られた環境でHTMLページを見やすくするための新技術“セマンティック・ズーム(意味論的拡大表示)”を開発したと発表した。発表会には、NECインターネットシステム研究所所長の片山 博氏、研究統括マネージャーの山田敬嗣(やまだけいじ)氏、主任研究員の旭 敏之(あさひとしゆき)氏らが出席し、1年後の実用化を目指して開発を進めていると説明した。
発表会の出席者。中央がNECインターネットシステム研究所所長の片山 博氏、左が研究統括マネージャーの山田敬嗣氏、右が主任研究員の旭 敏之氏 | HTML文書の内容と、レイアウト情報(RDFファイル)から、見出しなど重要情報の判別、およびカーソルで文章単位に選択/表示決定などを行なう |
セマンティック・ズームは、
- 見出しやタイトル部などの重要情報と本文要素を区別するXML文書(RDFファイル:Resource Description Framework)をHTMLページに添付し、画面全体を表示する際には重要情報以外を省略して表示し、HTMLページ全体の内容を把握しやすくする
- HTMLページ内のレイアウト情報を参照し、大/中/小見出しとそれに続く本文を1区切りの文章として扱い、表示したい文章単位で拡大表示の選択を可能にする
という2つの技術からなるもの。セマンティック・ズームを利用するには、ウェブサーバー側に既存のコンテンツ情報(HTML文書)とレイアウト情報(RDFファイル)を用意、配信し、クライアント側ではコンテンツ情報の解析・表示とレイアウト情報の解析・管理を行なう(読みたい文章を指示し、拡大表示する)。将来的には、HTMLファイルを自動解析して文書構造を把握する予定だが、現時点では文書構造を正確に把握するため、HTMLファイルからRDFファイルを作成/添付するためのオーサリングソフトを開発、配布する予定とのこと。
上のTV画面がセマンティックズームを利用したウェブブラウズ画面(下は通常のパソコン画面)。赤い四角で囲まれている領域は、レイアウト情報から見出しと文章をひとまとめにして選択した。画面では分かりにくいが、見出しははっきり表示されているものの、本文部分は薄くぼんやりと表示されている | 文章を選択したあとの画面。選択した文章を中心に、本文と見出しが正しいバランスで表示される |