【特別企画・最新パーツ性能チェック(Vol.9)】クロックが下がっても性能アップの謎を解く!Canterwood+新Pentium 4の性能チェック!
2003年04月15日 09時54分更新
グラフ1~6は3D関連。3.06GHz版が、PC2100ベースのE7205上に比べ、PC2700ベースのi875P上に移行するだけで大きく性能がアップしていることがわかる。しかし、どの場合も、i875P上のPentium 4-3GHzが、それをさらに上回っている。Canterwood上ではFSB 533MHz版のPentium 4はPC2700までしか使えないため、3.06GHz+PC3200という計測はできない。つまり、Pentium 4-3GHzの勝ちが確定するわけだ。
この大きな性能向上の結果、Barton 3000+との比較では劣勢だった3D処理において、Pentium 4が7テスト中4テストでトップに立った。3D処理はCPU性能とメモリ性能がモノをいうが、メモリ性能の大きな向上でCPUの3.3%クロックダウンは十分すぎるほど挽回できていると言える。
なお、3D処理においては、RAIDの効果はほとんどないか、むしろ若干ながらマイナスに作用している。ディスクの読み書き自体がそう多くないため、これは予想された結果である。
グラフ7~10はマルチメディアデータの圧縮処理。DivXやXvidではかなりの性能向上が見られるのに対し、Windows Media Encoder 9ではほとんど向上していないのが対照的だ。もっともこれは、圧縮の方法による問題が大きいようだ。DivXとXvidでは、1GBのDVファイルをエンコードしたが、エンコード処理自体が比較的軽いため、メモリー上のDVファイルの読み込み、書き出し速度が性能に影響したのだろう。WMEでは200MBほどのファイルに高レートの圧縮をかけたため、CPU内部への負荷が中心となり、メモリ性能の差があまり出ない。この結果は、WMEでは効果がないと見るのではなく、重いエンコーディングだと差が出ない、という理解が正しいだろう。また、比較的大きなファイルを扱うこれらの処理では、RAIDの効果がそれなりに見えているのもわかる。
高性能可逆圧縮ソフト「GCA」による音声データの圧縮性能は大きく向上しているほか、SuperπではついにAthlonを振り切っている。メモリ性能の計測では、実効レートで実に4.8GBというとてつもない値をたたき出している。E7205環境の1.5倍は大きい。CanterwoodのPC2700時の性能が低い割に、実際には高い性能が出ているのはなんとも不思議である。
対Athlonで言えば、もともと優勢だったエンコード性能でさらに差を広げ、比較的大きな差があったGCAやWMEのAudio圧縮でも僅差に迫った。
総合的に言えば、3000+と3.06GHzではやや押され気味だった展開を、3G+Canterwoodによって明らかに優勢に立ったといえる。従来Athlon XPのモデルナンバーは、一応対応するクロックのPentium 4に対しては対等以上の性能を維持してきたように思われるが、Canterwoodの800MHz FSB、デュアルPC3200は、それをひっくり返したのだ。
間違いなく“買い”の3GHz
この性能で、4月14日時点のように3.06GHzより1万円も安いのであればCPUとしては3GHzは文句なしに買いである。ただ、今回の3GHzのベンチマーク結果は、あくまでPC3200を利用した場合の話で、PC2700だと3.06GHzとどのような性能差になるかは微妙だ。明らかな性能優位を確保するためには、高価なCanterwoodマザーと高価なPC3200メモリを2枚、確保する必要があり、トータルコストではE7205+3.06GHzを上回りかねない。
とはいえ、Canterwoodマザーは年内に登場する90nmプロセスの新CPU「Prescott」でも使えるとされている。そろそろ古くなったマザーの買い換え先としてはいい選択肢であるし、それに載せるCPUとして3GHzが最も魅力的であることは言うまでもない。(アスキープラス編集部 野口岳郎)