コンセプトの異なる 「L18/F」
写真7 本体左側の無線LANアクセスランプ。本体の電源は切ってあるのだが、無線LANアクセスポイントおよびルータとしての機能は稼動している。 |
L18B/Fのコンセプトは「ホームネットワークの中心を担うパソコン」だ。スタイリッシュな外見は、家電的で家庭になじむという点では重要だが、要素としてはむしろ機能のほうが重要だ。すでにパソコンを数台持っていて、TV録画やDVD作成などに加えてホームネットワーク構築に興味のあるユーザーであれば、サーバ機能だけでも十分に購入検討対象に値するだろう。
一方、下位モデルの「L18B」は、L18B/Fからホームネットワーク機能とハードウェアMPEG-2エンコード機能を除いた製品である。ホームネットワーク機能がないため、L18B/Fとは同じシリーズ、ほぼ同じ外見ではあるものの、純粋に「スタイリッシュなディスプレイ一体型モデル」というコンセプトの製品となっている。液晶ディスプレイ一体型、TVチューナ内蔵、ソフトウェアエンコードによる録画機能という機能を見れば、バイオWシリーズの対抗馬といえる。しかも、バイオWよりも大きい17インチワイド液晶が搭載され、Office XPがプリインストールされているにも関わらずさほど価格差がないことを考えれば、購入時の比較対象となるのは間違いないだろう。
画面2 ファミリーネットワークウェアの掲示板の書き込み画面。一般的な掲示板とほぼ同じ作り。外部からも、Webブラウザさえあればアクセスできる。 |
店頭での予想実売価格はL18B/Fが33万円前後、L18Bが22万円前後。それぞれのモデルのコンセプトを理解した上で購入を検討していただきたい。
「一番は、何といっても繋げること!」
―ホームネットワークで買い替え・買い増し層を
富士通 パーソナル販売推進統括部第二販売推進部長兼企画担当課長
小林義法氏
第一販売推進部(FMV-DESKPOWER担当)
永田泰三氏
買い替え・買い増しのカギは繋げること
富士通は冬モデルで、ディスプレイ一体型の筐体にルータ機能・無線LANアクセスポイント機能も搭載した「FMV-DESKPOWER L」、ホームサーバ「ファミリーネットワークステーション」を、新たにラインナップに加えた。今回こういった商品を出した理由だが、両氏によると、まずマーケット環境が大きく変化し、新規の購入層が減少して買い替え・買い増しが中心になってきた。家の中に2台、3台のパソコンがあることが珍しくない。そして、複数台のパソコンを持っている人の7割はそれらを繋げたいと思い、さらにそのうちの半数以上は無線で繋げたいと考えている。だが、多くの人が実際には繋げていない。その理由の多くは「難しそうだから」。そこで、富士通は家の中の複数台のマシンを簡単に繋げられる機器として、またホームネットワークの中心として、DESKPOWER Lおよびファミリーネットワークステーションを発売し、買い替え・買い増し層を狙う。この種の製品は富士通としては初めてで、コンセプトとして「一番は、何といっても繋げること(小林氏)」。
そのDESKPOWER Lは、出先からでもデータにアクセスできるというのがウリだ。ブラウザさえあれば携帯電話でもPDAでも、データにアクセスすることができる。また、ほかの同様の製品とは違う点として、同機の搭載するルータおよび無線LANアクセスポイント機能は、本体の電源をオフにした状態でも動作するようになっている。永田氏はWebサーバを立てる際、通常は24時間マシンの電源を入れ続けなければならないが、これは日本人の感覚に合わないとしている。そこで、DESKPOWER Lでは、ルータ部分のみ24時間稼動し、Windowsの機能を使いたい場合はルータから本体を起動できるようにした。必要なときだけマシンを起動するという利用法がなければ、サーバを使ってもらうのは難しいからだという。
パソコンは誰にでも使いやすく
製品ラインナップについてだが、富士通の考えでは「パソコンは、ある程度何でもできるもの」であり、特定のユーザー層・用途に絞った製品には否定的だ。「パソコンは誰にでも使いやすくなければならない」。もっとも、特定の層に特化した機能でニーズがあれば、そういったラインを作ることも検討するが、現在のところは「もう少し見極めてから」だという。とはいえ、富士通はモバイルユーザー向けにミニノート「FMV-BIBLO LOOX」をラインナップしている。B5ノート以下のミニノート市場は厳しいが、「この市場がシュリンクすることはない」。複数のマシンがあるとき、データの共有をどうするかといった問題に必ず直面するが、今回のDESKPOWER Lで、データはサーバで管理すべきという形をある程度は示せた。そして、リビングではDESKPOWER L、外からはLOOXでアクセスするのが便利だといった提案もできるとしている。
小林氏らは、企業ユースと個人ユースといった境界線が、今後希薄になっていくと考えている。。会社のパソコンも家庭のパソコンも、個人から見れば同じネットワークで繋がっている。富士通の強みは企業向けと個人向け、両方ともやっていることであり、その双方のニーズをつかんだ製品を投入していくという。その第一弾が今回の製品であり、今後はホームネットワークを充実させる商品を提供していく。
「この冬モデルでは、新しいホームネットワークということを切り口に、ユビキタス社会へ向けての方向性を示せたと思う(小林氏)」。
FMV-DESKPOWER L18B/Fの主なスペック | |
製品名 | FMV-DESKPOWER L18B/F |
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CPU | Pentium 4-1.80AGHz |
チップセット | SiS650 |
メモリ(最大) | PC2100対応DDR SDRAM 256MB(1GB) |
ディスプレイ | 17インチワイド スーパーファイン液晶(1280×768ドット) |
ビデオ | チップセット内蔵(メインメモリのうち32MBを共有) |
HDD | 120GB |
FDD | オプション |
光メディアドライブ | DVDマルチ(DVD-RAM2倍速/DVD-R2倍速/DVD-RW等速/CD-R12倍速/CD-RW8倍速/CD32倍速/DVD10倍速) |
スロット | PCカード×2(CardBus対応) |
ドライブベイ | 5インチ×1、3.5インチ×1 |
I/O | USB 2.0×4、IEEE1394×2、TVアンテナ端子、ビデオ入力(コンポジット/S端子) |
通信 | 10/100BASE-TX、無線LANアクセスポイント(IEEE802.11b)、56kbpsモデム(V.90) |
サイズ(W×D×H) | 492×235×364mm |
重量 | 14.5kg |
OS | Windows XP Home Edition |
アプリケーション | Office XP Personal、ファミリーネットワークウェア、MotionDV STUDIOほか |