“Internet Week 2002”最終日の12月20日、OSDNジャパン主催のカンファレンス“オープンソースウェイ”が行なわれた。少し前にはビジネスの文脈で、最近では政治的な文脈で語られることも多い“オープンソース”というキーワードに対して、法的、経営学的、政策的、ハッカー文化的な側面からの説明が加えられた。
オープンソースとは何か
まず最初に、GNU Projectの八田真行氏がオープンソース概念について、その起源から社会的な位置づけを明らかにする講演を行なった。
GNU Projectの八田真行氏 |
オープンソースという概念は、1997年にEric Raymondらが設立した“Open Source Initiative”により、“The Open Source Definition”(以下、OSD)として定義されている。もとになったのは、同じ時期に著わされた“Debian Free Software Guideline”だ。この“Debian Free Software Guideline”は、Debianプロジェクトのディストリビューションにソフトウェアを収録する上で、Debianプロジェクト自身が“フリー”であると見なすソフトウェアの要件を列挙したもの。ここから「“Debian色”を抜いたもの」(八田氏)が“オープンソース”であるという。
OSDに準拠したオープンソースのライセンスとしては、GNU GPLのほかにも、修正BSDライセンスやX11ライセンスなど多数あるが、現在のところ各ライセンス間に矛盾があったり、サーブレットなどの技術に対応できないなどの問題があるという。そのほかにも、日本法との整合性が十分に検討されていないことや、そもそも著作権法自体の限界といった問題もあり、「文系、理系といった枠にとらわれない学際的な研究が必要」(八田氏)であるという。
また、オープンソースにまつわる誤解として、ソースコードが公開されていることだけでオープンソースであるとする議論や、利用に対する制限を独自に付け加えた“日本独自のオープンソース”、単純に仕様を公開した場合などの例を挙げ、オープンソースはソフトウェア開発者に対して開発しやすい環境を提供することが重要であること、オープンソースにすることで、ソフトウェアの“ネットワーク外部性”(利用者が増加することで利便性がより増大するという性質)を利用できるが、それ以外の場合ではオープンソースと同様の効果は期待できないことを説明した。