【表6】テスト結果
それでは、これまでのテスト結果を総合して最終的に「オーバークロックに適したマザーボードはどれか?」を【表7】に★印で得点を入れてみた。まず、“オーバークロック機能の充実度”は、非改造でCPU倍率、コア電圧、DDR電圧、FSB設定クロックの設定が可能であり、その機能の全てをBIOSセットアップから操作できるK7T266 Proが最も充実していると評価した(FSB設定クロックについては、ベーターBIOSであるが、最高164MHzまで拡張されている)。次の“処理速度の速さ”は、テストデーターが示した通り、客観的にAD11が群を抜いて最も速いマザーボードである。最後の“オーバークロック耐性”については、テストデータを元に評価したが、ユーザースキルに応じてAD11がK7T266 Proと同等あるいは逆転する可能性を否定しない。つまり、もしもAD11のクロックジェネレータ回路を改造できるユーザーならば、K7T266 Proがマークした160MHzに到達、または超越するかも知れないからだ。しかし、現状だとPLL-ICの仕様がリミッターとなって本来のオーバークロック耐性が出せない格好になっている事がある意味でマイナス評価とした。したがって手間を省いてオーバークロックを楽しむなら、K7T266 Proがお手軽であり、とことんスピードを追求するハードなオーバークロックを目的とする場合は、AD11がその素材に適していると思う。ただし、そのために必要な手間やスキルは、入門者にとって少々荷が重いかも知れない。また、今回は、3枚のマザーボードに限った話しであり、続々とアナウンスされる新製品のスペックにこれらを上回る製品が登場する可能性は高い訳である。結局、その時折りで「オーバークロックに適したマザーボードはどれか?」の答えは更新されて当然と考えており、オーバークロック研究室の課題は尽きることがないだろう...と、締めくくる間もなく編集部から「新発売のマザーボードを送る」と連絡が入ってきたのである。どうやら、本当に尽きることがなさそうだ。
【表7】総合評価
- | オーバークロック機能の充実度 | 処理速度の速さ | オーバークロック耐性 |
---|---|---|---|
A7A266 | ★★ | ★★★ | ★★★★ |
AD11 | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
K7T266 Pro | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、ベータ版BIOSの使用を含めてBIOSの更新に失敗した場合など、その結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。
【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。ASCII DOS/V ISSUEではレスキュー日記でマザーボードの修復記事などを執筆。他PC改造に関する著書もある。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。ハンドル名は「KAZ’」。大阪府在住1957年生まれ。