日本サン・マイクロシステムズ(株)は本日、東京・永田町にて“Java
Card”の記者説明会を開催した。これはJava Cardを物理的なカードと間違って認識している人が多いという理由から開催したもの。
説明役は、米サン・マイクロシステムズ社、Consumer & Embedded事業部長のパトライス・ペイレット(Patrice
Peyret)氏。同氏はJava Cardの概要について説明した。
「Java CardはICカード用のJava技術。Javaの命令群の中からICカードで利用するのに必要なものだけをピックアップしたもので、APIで提供される。このJava
Cardはフリーなので、ユーザーはウェブから自由にダウンロードして利用できる。作成したソースコードは通常のJava用コンパイラーでコンパイルできる。完成したオブジェクト(Card
Byte codes)は、インタプリター型でカード内に存在する仮想マシン(VM)上で動作する」
Patrice Peyret氏 |
「現在、Java Cardのライセンスは、日本の(株)東芝、(株)日立製作所、日本電気(株)を含め、全世界で30社が所有している。
Java Card搭載のICカードは、VISAの電子マネーや、ネットワークでのユーザー認証などに利用されている。3月末の時点では全世界で100万枚以上出荷されてた。今年の年末には400~500万枚の搭載ICカードが出荷されるだろう。Java
Cardが急速にカードベンダーで採用されているのは、Java Cardの持つセキュリティーが一般的に認知されてきたからだろう。
Javaは開発当初からセキュリティーについて考慮した上で設計されている。Visual
BasicやCとはそういう点で根本的に異なる。先日のウイルス騒ぎのようなことがあってはならないのだ。Javaが金融機関で採用される理由は、そういったセキュリティーをはじめから考慮して作られた言語だから。
また、Javaの特色はオープン性。ライバル会社は隠すことでセキュリティーを守ろうとしているが、それは間違っている。オープンにすることでセキュリティーの修正ができ安全性を高めることができる」
同氏は、Java Cardの今後について、以下のようにコメントした。
「Java Cardは移動体電話におけるスタンダードになっていくだろう。また、Java
CardとJiniの統合や、リレーショナルデーターベースの管理をICカード上で行なうといった実験も手がけている。9月にはこれらの実験が完了するだろう」
米国海軍は軍人向けにJava Cardを採用したICカードを発行する予定という。カードには軍人個人の体質や、健康状態、食品アレルギー、医療データといった個人的なデータが管理されるという。
今回は説明だけ
今回の記者説明会では、新しい技術の説明はなかった。今回の説明会の目的はJava Cardの認知度を高めることだったようだ。現状において、利用されているICカード8bitプロセッサーでは、VMのサイズは8KB、RAMが512Bである。この容量の少なさについてPeyret氏は「Javaを実行するのに高価なデバイスはいらない」とコメントした。
司会進行役の有田氏は「Java Cardはソフトウェア。ICカード自体と間違って認識している人があまりにも多い。今回を機にしっかりと理解していただきたい」と締めくくった。