Unix Business Association(UBA)と日本インターネット協会は、第1回インターネット・ビジネスフォーラムとして、“xDSLとメガビット時代のインターネット”を開催した。xDSL(x
Digital Subscriber Line)とは、電話や有線放送などに使う既存のメタリック回線で、高速データ通信を行なう技術のこと。xDSLの国内での実験状況、米国でのサービス状況などについて、講演および質疑応答が行なわれた。
まず、長野県でのxDSL実証実験について報告された。長野県では、有線放送業者が中心となり、昨年から有線放送用回線でxDSL実証実験を行なっており、xDSLに関してひとつのモデル地域としても注目されている。
モデム端末の価格が高いなどの理由で、xDSLの実用化時期などについては未定だが、JA長野県では、構内LANや有線放送局間接続への適用を構想しているという。実験に携わった伊那市有線放送農業協同組合の中川泰氏は、「実用化に耐えうる通信速度が得られた。当初、組合の役員たちは、『40年間築いてきた回線を趣味のために貸すなんて』と少しも聞き入れてくれなかったのですが」などと実証実験について述懐した。
欧米に比較して、日本はxDSLの分野では明らかに立ち遅れている。NTTも本格的な実証実験を開始したのは今年初め。主催者側は、NTTに今回のフォーラムで発言してくれるよう要請したが、結局、交渉は成立しなかったという。会場あるいは講演者からは、xDSL実験の遅れやアクセス網独占に対するNTTへの不満が多く聞かれ、それを黙認している郵政省も糾弾された。
(株)インターネット総合研究所の藤原洋氏は、「アメリカでは先日、U.S.West社が下り方向で7MbpsのADSL(Asymmetric
Digital Subscriber Line:上り方向と下り方向で通信速度が非対象なDSL)サービスを開始すると発表したが、価格は毎月40ドルと、CATV回線を利用した接続サービス並みになっている」などと米国の実例を紹介した。米国では、ADSLの標準化組織“Universal
ADSL Working Group”を民間企業が設立し、ITUに標準規格を提案していくなど、民間主導でxDSLが展開されているのだという。
トリを務めた国際大学GLOCOM所長の公文俊平氏は、「ネットワークインフラの整備には、政府の援助が必要」としたものの、「インターネット業社でも政治献金するところがあってもいいのでは」と冗談交じりに話し、郵政省にたんに期待するだけでなく、民間からの積極的な政治的アプローチが必要、と説いた。場合によっては政府の方針を待たず民間から先に行動を起こそう、という意見も出た。(報道局 浅野広明)
・Unix Business Association
http://www.uba.or.jp/
・日本インターネット協会
http://www.iaj.or.jp/